本サントラの醍醐味は、劇場版1と2劇伴を網羅した川井憲次
音楽は勿論、何と言ってもヴォーカル曲の充実さにあるだろう。

川井自身による1冒頭の英語曲「Invisible」は、様々なオブジェの飛び交う
OP映像同様、ポップ爽やかで本作『東のエデン』劇場版の幕開けに相応しい
洗練された味が魅力。さらにTVシリーズより関わってきたs.f.pによる「light prayer」
「future nova」「after laugter」など3曲もすべてフルサイズで収録しており、
これだけでも非常にお得感があると感じるが、ファンは既にマキシで購入済
という気もするし、その辺が本アルバムの評価の分かれるところでもある。

特に今回推したいのは、ヒロイン森美咲役の早見沙織が歌う「ミカエルかべリアル」。
意味深な歌詞も技ありと感じさせる、様々な謎を纏う滝沢朗に翻弄される、
可憐なヒロインが醸しだす精緻で繊細な心情を引き立たせた非常に咲らしい楽曲。
清潔感のある早見自身の歌声もさりげなく魅力的で、川井の紡ぐ深い闇や
深淵を感じさせるメロウな洗練されたミディアムテンポ楽曲に絡む、
けれど本質的には滝沢を信じたいと心から願う乙女魂が胸に響く。

既リリースのマキシにて被ってしまうs.f.p楽曲の有無はともかく、
個人的にはこの一曲だけで本サントラの価値は大いにありと感じている。
勿論、爽やかポップ系やなごみ系、重厚感のあるハードトラックとを
繋ぐ（意外に?）ここへ来て洗練されてきた、川井音楽の妙味も含め。