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現象学と解釈学 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥1,575
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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何度読んでも、いい味が出る ★★★★★
 現象学と解釈学には交差する最先端の知の領域あります。
 学問としての目的が異なるのですが、同じ問題意識を抱える領域があるのです。
 その知の展開の方向性に関して、その問題系を解き明かすことが目的とされる本です。
 「フッサールの問題意識とは何か(現象学)」とか「ガダマーが何を解明した(解釈学)」を知るのに役立ちますが、ディルタイやハイデッカーの重要性も記述されています。
 本書は入門書とはいえませんが、とてもよく噛み砕かれている内容でかつ、これまでの歴史と現在の問題点が書いてありますので、この分野に興味がある人にとっては体系を視野に納める上で最高のものです。
  現象学と解釈学の葛藤のなかで、身体論や西田哲学とも非常にギリギリの記述の限界ラインで接触しており、たしかに知の最深次元の問題意識を知るには楽しい本です。
 しかし、あまり読まれないでしょう。これを読むのは余程のマニアなのです。 
新田現象学研究の不撓の集大成  ★★★★★
フッセル現象学の難解さの要因は、全体像を完成しなかったことにある。しかし、高弟のブレダ神父らがフッセルが書残した遺稿をオランダに移し、ナチスの迫害から守れたことで戦後再度現象学研究が興隆を迎える。その成果の全体像の解明を通して、著者はフッセル現象学の鍵概念としてディテールと全体を克明に描き出す。対象のテキストはフッセルが書残し、後裔の研究者たちが復元した速記草稿からのテキストでフッセリアーナのタイトルで知られる全集を中心に、生前フッセルから直接指導を受けたハイデガー、オイゲン・フィンク、ヴァン・ブレダ、ローマン・インガルデン、ヴァルター・ビーメルなど錚々たる現象学者・哲学者の著作に依拠する。戦後ルーヴァン大学のフッセリアーナ・アーカイヴで草稿を読み込んだサルトル、メルロ・ポンティやポール・リクール、デリダなどフランス系現象学者の研究成果をも取り込んで、現象学の基本概念の全体像を克明に描き出す。現象学はその精緻な概念規定とその変遷をたどる必要性があり、翻訳文だけだと誤解を与えやすい。この誤読を最小限に止めるために、原綴やルビを駆使して、ドイツ語テキストを読み込める読者への配慮がなされている。それにしても戦後現象学研究の膨大な成果は、前述のフッセリアーナの継続刊行(未だに完結しない)と現象学叢書Phenomenologica、機関誌ともいえるPhilosophy and Phenomenological Researchに、論文集叢書Phenomenologische Forschungenなど多数の研究成果が刊行され続けている。この精力的な研究体制に飲み込まれることなく、基本概念を精確に押さえて、読み込み、解釈し続ける。本書で重要な読解ポイントは、現象学の認識過程で、解釈学がア・プリオリに内在される経緯の解釈で、これにはポール・リクールの研究が重要な役割を果たしていることであろう。現象学の全体像を精確に叙述した日本では最高の注釈書と言える。著者の知力には感謝と敬意をささげる以外にない。フッセルはカソリックに改宗しているが、厳密なる学を提唱した関係で、安易に歴史と神を混同する記述は残していない。