インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

現象学とは何か フッサールの後期思想を中心として (講談社学術文庫)

価格: ¥924
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
いまだに「現象学」解説書のNo.1 ★★★★★
現象学関係の解説書は多いが、コンパクトで網羅的で、的確で、しかも原典から「逃げない」で真正面から語る本書は、いまだに群を抜いたNo.1。虚しい気取りもなければ、「分かりやすさ」を意識した嘘の要約もない。かといって、不安に駆られて引用に継ぐ引用で、何がなんだかわからない、ということもない。安易に生活世界や他者論とやらに逃避行もしない。フッサールの「方法論」に徹底的に付き合うスタンスは、哲学者だなあ、と感心した。個人的には、「第一哲学」の転換(非デカルト的方法)の説明は興味深かったが、改めて、フッサールがこの地点でピークを過ぎたという考えに確信を持った。本書には、もう少し、「論研」に長く付き合ってほしかった。現象学の動機というか、成立過程は「論研」にあって、「イデーン」において、現象学の体裁を整え、用語も本格化するが、すでに、思考のピークが下り坂の気配がする。「危機」書で、直観による現実との繋がりが忘れられ、数学的な操作が自立化していくことに、科学の危機を唱える辺りは、古くはヘーゲルの「精神現象学」の序論や「自然哲学」でも語られており、今更の感もあり、そもそもその問題点を埋めるべく思考するのが哲学なのだが。。。という感じが否めない。本書を手にしてその思いが強くなった。ハイデガーとの対質は本書のもう一つの読ませる場面だ。しかし、ヘーゲルとの比較や、メルロ・ポンティたちとの比較は、今となってはおもしろいテーマではないが、それも本書の研究があればこそ言えることだと思う。
範となるべき秀作 ★★★★★
本書はフッサールの後期思索の追思索から現象学の姿を照射しようとする試みである。現資料に留まり続けながらもフッサールの創造性と多様な問題とを描出し、彼の生涯を生き生きと再現してみせながら、現象学の産みの苦しみを伝えてくれる。

本書は真剣な文献解読を経て生まれた専門書である。要求される思考力はそれなりに高い。しかし、だからこそ読みながら確かな理解が得られるのだ。現象学は意識を主題としつつ存在の成立基盤を構成してみせる方法である。その分場面は微小で繊細である。その諸作用を言語化するのだから必要になる概念も抽象的で複雑になる。本書はその点紳士的で、簡略化に逃げず正確な定義を伝えてくれる。

読み切るのに苦労はするが、その分読了後、現象学の趣旨・輪郭・可能性・アポリアがどこにあるかについて確かな理解が得られるはずだ。

日本語による現象学入門最高の書 ★★★★★
以前紀伊国屋新書として刊行され、ロングセラーを重ねた最高の入門書。他の新書・文庫の類の現象学入門は判ったようで、混乱するだけの解説しか与えていない。
本書の卓越した視点とは、後期の所謂「危機書」と「省察」を機軸に、フッセル現象学の主要概念を謂わば逆照射の視点から一貫して解釈した通約性である。概念説明が適格で、判り易さ日本一。フランス一は、もちろんメルロ・ポンティの「知覚の現象学」序文、どうぞ名解説の両雄を是非読み比べて、いち早い現象学理解を得てください。
もっとも感動的な哲学研究書 ★★★★★
 これほど感動を与える哲学関係の本にはであったことがない。匹敵するとすれば柄谷の『内省と遡行』ぐらいのものだろうか。

 フッサールの後期思想を中心に(前期思想に関してはおおざっぱなところもあるが)かなり精密に概念を整理しながら解説している。それがなぜ感動的かというと、著者の整理によってフッサールが何度もみずからの思考の限界につきあたり、しかもそれは自分の思考を徹底的につきつめていったはてにその内部から思索が打ち砕かれるという形でつきあたるのだが、また新たな分析方法を考え出し、それをつきつめ、また限界に突き当たり……という仕方で黙々と前進していくというふうにフッサールが描かれているからである。

 フッサールの影響は大きい。ハイデガーはもちろんのことデリダだってレヴィナスだってドゥルーズだってフッサールが切り開いた問題意識なくしてはありえないはずだ。そんなに大きいフッサール。でも最近ちょっと過小評価されているような(日本でだけ?)フッサール。そんなフッサールの後期哲学への最良の入門書でありつづけることをこの本はまだとうぶんやめることはないだろう。