お恥ずかしながら、おれは未だに何のために人間として
産まれて、いったい何のために生かされているのかが
どんなに考えても全く判らない・・そんな愚かな人間です・・。
しかし、この本の中で普通のことを普通に行い、今際の際まで
人のために自らの全てを捧げられる佐々木幸枝さんのような人は
おれのように理論武装に耽る愚かな時間など持ち得なかったに違いない。
奇跡というものが存在するなら、それは神の化身とか予言の書というより
こういう人が普通に生きて人に尽くし愛されていた・・という事実なのでしょう。
おれは、こういう人の話を見聞きすると、いつも心が痛くなります。
自分の不甲斐なさと、人生というものを無意識にも理解できている
人の存在に対する憧れと羨望のために・・。

著者青山さんは、アガスティアの葉の預言をうけ、預言に翻弄されまいと生きようとするが、いつの間にか逆にひた走っていた…。これから起こるであろう出来事、出会いを、他の信憑性のある、かの地の人間が知るはずもない個人情報とともにいってのけられたならば、信じないでいるなんて、無理な話なんだろうなと思う。
宗教哲学に熟知され、感情と理性のバランスのとれた青山さんであっても、他人に尽くし、慎ましく生きた最愛の女性に降り懸かった病や死に、いままでずっと信じてきた神を恨むぞと、ナイフを突き付けんばかりに、祈りを捧げた姿には、涙がとまらなかった。その後、敬愛してやまないサイババに優しく諭され、柔らかな笑顔に、どんなに救われただろうと、自分もサイババに是非会いたいと思った。世の中には人間が言葉や理屈で理解しようともできない、不思議な神秘に満ちた道がある。それを神とよぶのだろうか?たくさんの人間の人生が、生き様描かれた、現代に不可欠な一冊だと思う。

　これまで、青山氏の著書やエッセーなど機会があればよく読んでいたのですが、なぜかこの本は読んでいませんでした。自分には時が熟していなかったのかもしれません。氏のインドでの神秘体験、そして偉大なる預言書をなぞるように、氏の周辺に事象が粛々と展開されていきます。
　人の行動、思考までがすべて何かの意思（サンカルパ）のとおりに決まっているとしたら、しかもそれが、時間の上でははるか昔に預言されていたなら、その事実に直面した後でいかに抵抗しようと、それはそれで、また決まっているのです。ささやかな反抗を試みた著者も、事実を受け入れざるを得ないのでしょうか。　因果報応、輪廻転生、言葉ではよく理解しているつもりですが、数千年の時空を超越して、今語られる著者の過去世、そして天体の配置が語る人の未来、時間の流れは存在しているようで、実は過去と未来は常にリンクしているのでは。
　本は読み終わっても、この不可思議は永遠に終わりません。