至高
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これほどに衝撃的かつ完成されたものはそうそうない。完璧、至高、究極というものがこの世にあるとすれば、この一作はまさにそれです。たとえ100万円したとしても聴く価値が勝ると思います。
perfect
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70年以降の音楽の方向を決定した1枚ですね。Nefertiti!こんな音楽聴いたことがない。
編集王マイルス
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『ウェイン・ショーター自伝』という本がある。内容についてはもちろんウェインがメインで、しかも内容的にウェインの内部世界の内容が濃く、関心のない人には至極重い本なのでお薦めというほどではない。この本を読んでいて俄然面白いのはマイルスの肉声が出てくる部分だ。
当然、黄金5の時代から、そのヴェールに包まれた世界が明らかにされるのだが、一番読んでてのけぞるのは「サンクチュアリ」と称された章の、出だし4ページだ。アドリブに対するマイルスの凄過ぎる、鋭過ぎる語りがありそのあと、この『ネフェルティティ』の録音風景が描かれる。
まず、ウェインがこういう(タイトル)曲を書いてくること自体が既に異常事態だが、マイルスは冷静にリハを終えると提案する。「この曲いいメロだから、アドリブなしってのはどうだ?」当然、残りの4人は醒めた笑いを浮かべるだけだ。そんなことをするジャズ・ミュージシャンはいないからだ。そしてマイルスは言った。「そう、それだ。だからやるんだ」
本当に、マイルスの真に否定することなど一切できない、帝王としての威厳。大胆な解釈。その結果がコレだ。思わずトニーになったつもりでドラム叩くマネをしてしまう。思考回路がフッ飛ぶ。
そしてこの体験は貴重だ。よく『アガルタ』を大音量で聴き込めばエレキ・マイルスの真の姿が見えてくる、というが、私はまずこの『ネフェルティティ』を1度聴くことをお薦めしたい。意味さえ分かれば、『キリマンジャロの娘』以降、壮絶なラスト『ドゥー・バップ』まで、まるでジェット・コースターのような体験ができる。そして気が付くと竜宮城に滞在していたかのようにマイルスを聴くだけで1年くらいすぐ終わる。そのような稀有な体験ができる招待状である。必聴。
アコースティック・マイルスの極北
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あまたあるマイルスの作品の中でもあまり語られる事がない本作だが、アコースティック時代の最高傑作であろう。とにかくこの作品で、マイルスはジャズ・ビートの範疇で出来る事は完全に極めつくしてしまった。
それ故に次作「イン・ザ・スカイ」からは、8ビートとエレクトリックの導入に踏み切るのだ。
どこをとっても一部のスキもない完璧な作品だが、特にマイルスとショーターがノーアドリブで延々とテーマ・フェイクを繰り返すタイトル曲の「Nefertiti」は、マイルスが見てしまった「JAZZ」と云う音楽の臨界点を、凍りつく様な冷徹さで我々の前に提示する。
これ以降マイルスは、二度と「JAZZ」と云うフォルムに立ち戻る事はなかった。「JAZZ」に対するマイルスの最終回答とも云うべき作品だ。
眠るアコースティックジャズ。
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「マイルス・スマイルズ」辺りまではまだマイルスのジャジーなソロが幅を利かせていたけど、このアルバムまでくると他のメンバーに合わせてホーンで色を表現するようなプレイに変わっています。またショーター色は4作中一番強いです。
1曲目、2曲目と続くショーター作の幻想的なバラードが、エジプト神話アスプの魔力のように眠れ眠れと夜に誘ってきます。他の曲もテーマメロディー自体はシンプルだけど、各メンバーがムードを保ち素晴らしいソロを聴かせるので心地よい緊張感があります。リズムの格好良いハンコックの「Riot」にも痺れます!
またボーナストラックで「Hand Jive」が2連続で収録されていて、普通だったらこんな収録の仕方して馬鹿やろうですが、どちらもショーターのソロが素晴らしいので大満足です!別テイク「Pinocchio」はネフェルティティの2匹目のドジョウを狙ったようにテーマを繰り返すバージョンで面白いですが、アルバムの最後を絞める曲としては良いです。
トレーンも急逝し混沌としたシーン、この「NEFERTITI」をもってアコーステック・ジャズは一つの幕を迎えるのでした。