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驢馬とスープ―papers2005‐2007

価格: ¥2,625
カテゴリ: 単行本
ブランド: ポプラ社
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日本についてつくづく考えさせられるエッセイ集 ★★★★★
 「外国から帰ってくることの利点とは、日本で生じている事件に対して、いくぶん達観した姿勢がとれることだと思う」。

  このエッセイ集はヨモタのこのスタンス、視点に貫かれている。「日本人に亡命者がほとんどいないのは、この社会のもつ牽引力の強さが原因である」とヨモタは言う。ヨモタはまた、日本を「恐ろしい速度で飛行を続けている飛行船」に喩えて言う。「宇宙船の外に出、優雅に宇宙遊泳を試みたりすると、」「宇宙船はあっという間に遠ざかってしまい、」「宇宙船に戻ることは至難のわざ」。日本という国の磁力をこれだけ自覚した上で、あえて、日本を離れて暮らすこと、日本ではない場所に立脚点を持とうとすること、日本を外側から捉えようとすることの勇気こそが、きっと何よりも重要なのだ。
  それにしても、こんな分厚いのにヨタらない、ブレない。クールで、一筋縄じゃいかなくて、軽やかなのにふてぶてしい。縦横無尽で八面六臂。この知性の体力にはシャッポを脱ぐ。  
  気に入ったフレーズ並べちゃうと、「あんたたちは自分が自分の考えで語っているつもりで、何か別のものに語らされているということに、どうして気がつかないんだい?」「わたしがモノを書くことに囚われているのは、それによって当の対象から心理的に解放されるためである」「日本語のなかで、こういう言葉を不用意に使っている人間を目の当たりにすると、こいつ、頭、悪そうだなあと、即座に判断する3つの言葉というものが存在している。「愛国心」、「世間」、そして「世代」である」「セレブとは、ファーストフードと化した神々である」とか、とか、とか。

  ミャンマー、コソヴォ、チベット、タスマニア、ニューヨーク、青島、ベイルート、...地球上のあらゆる場所で綴られたエッセイだけど、一言で言えば、これは、日本についてつくづく考えさせられるエッセイ集だと思う。