食べること、生きること
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シリーズの外伝、感謝を知らない主人公が、つらい旅の道筋を通して変わっていく過程が印象的です。とくに私が感銘をうけたのが、初めて獲物の命を奪って自分の手でさばき、「ごめんなさい、おいしいです。おいしいです」といいながら食べるシーンでした。自分が奪った命が自分の糧になり、そのおかげで生き延びていける・・・現代の私たちも同じはずなのですが、現代の暮らしの中では「命をいただいて生きている」という実感はなかなか感じることができません。子供たちがこういった物語のなかで、その端緒を感じ取ってくれるのではないかと願っています。読んだあと、いつまでも胸の中に灯のように残る作品です。
食べることが
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本伝4部作も続きが待ち遠しいシリーズでしたが、この外伝も、ポイシュマに導かれながら旅をする主人公が変わっていく様子が印象的なストーリーです。特に初めて自らの手でいのちを奪った獲物に「ごめんなさい、おいしいです。おいしいです。」と謝りながら、感謝しながら食べる姿が心に残っています。(いま、私達のうちどのくらいが、毎日食べる肉や魚が生きていたいのちだったことを食べるときに思い出すでしょう。)子供時代に読むと、ずっと心の中に小さな灯りのように残る物語だと思います。
とても敬虔な気持ちになってしまう
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あの月神のシリーズがまた再び!主人公の運命の子は、清く、強いポイシュマとはもう、似ても似つかない子どもなんだけれども、この少年が成長していく様子はとても感動的でした。この子のねじまがった心は、まっすぐになるんだろうか、カムイの思いに触れることは出来るんだろうか、無理じゃないだろうか、と思うんです。でも、こんなダメな少年がたくましく、信仰ある大人に成長していく様子はとても自然で、作者の力量を感じます。
月神シリーズは、じわじわと心に染み込んでくるんですよね。しんしんと降り積もる雪のように、とても敬虔な思いが胸の奥に積もっていきました。