良く、描けている・・・、凄いなぁ。
★★★★☆
健康マットのセールスマンのお話。
友人から誘われ、ジャパン・エースという会社の研修会に訪れた主人公。
最初は色眼鏡で観ていたのが、徐々にその組織のマインド・コントロールに飲み込まれていく様を克明に描いた作品。
まるで、ノン・フィクションではないか、とさえ思ってしまうほど、描写がリアルだ。
ジャパン・エースの方針の「とにかく金を稼ぎ、ドン詰まりの人生の活路を開きましょう!」というスローガンは、(うわぁ、ありそうだなぁ・・・)と思いながら、読んでいた。
正直、この作品で描かれている世界は、僕にはキツイ。
自分のような人間には到底生きていけないと思う。
しかし、苦手な世界が描かれているにも関わらず、読む手が止まらない。
人々がジャパン・エースに洗脳されていくように、僕自身も梁石日の活字に洗脳されているかのようだった。
やはり、この作家は凄い。
絶対引っかからない、と思っている人にオススメ
★★★☆☆
主人公は金に追われながらも、最初からこれがねずみ講まがいのいかがわしい商売であり、その破滅を冷静に見通している。つまり多少はねずみ講がどのようなものかを理解している我々そのもの。それにも関わらず足を踏み入れてしまう契機の研修会。著者自身の体験を基に書かれたらしいが、確かにこのリアリティ、熱気は経験した者でなければ書けないだろう。「切れば血が出る」の表現にふさわしい文章で、おまえはこの状況で入会を拒否することが出来るか、という問いをこれでもかと突きつけてくる。
自分は大丈夫、と思っている人にオススメ。
あの「タクシードライバー日誌」ヤン・ソギル氏の事故後生活のマルチ商法の罠に落ちるまで
★★★★★
水商売の雇われ運転者、競馬ノミ行為・マルチ商法。まっとうな職に就けない者のホームレスではないにしろ、まさに底辺でのあがき。韓国系日本人の差別問題を内包し、ある意味社会派?の観点からマルチ商法の怖さを扱う本作は、タクシードライバー日誌シリーズの主人公(筆者自信)の事故後のタクシードライバーとしての職を断たれた続編ドキュメンタリーとも言える渾身の一作。
社会の底辺であえぐ人々の叫び
★★★★☆
水商売の雇われ運転者、競馬ノミ行為・マルチ商法。まっとうな職に就けない者のホームレスではないにしろ、まさに底辺でのあがき。韓国系日本人の差別問題を内包し、ある意味社会派?の観点からマルチ商法の怖さを扱う本作は、タクシードライバー日誌シリーズの主人公(筆者自信)の事故後のタクシードライバーとしての職を断たれた続編ドキュメンタリーとも言える渾身の一作。
現代社会への警鐘的作品では
★★★☆☆
マルチ商法の始まりから終焉までを淡々と語りつづけた、ヤン・ソギルさん独自の目線と語り口で構成されたフィクション。
人は何故解っていてもこのような商法に手を出すのか、本書を読めば少しはわかるような気がします。洗脳のような研修会のシーンには寒気を覚え、勢いに乗って頂点にたったとたん、もろくも崩壊する人々に虚しさを覚えます。
フィクションとは思えない生々しい現実の世界が描かれています。人物描写も何処にでもいそうな普通の人々で、自分もそんなところはあるなと思う心情は多多有ると思います。
それにしても「○○ですかー」は極めつけのパロディですね(笑)。
世の中甘いことは無いと思いながらも、人々は甘い話に乗っていく。そんなうまい話は無いんだということを、本書を読んで充分知識をつけておきましょう。