空海の生涯、真言密教の正統後継者になった経緯、最澄との関係、それに現在も息づいている真言宗の教えについてハラハラドキドキしながら一気に読んでしまいました。巻末の参考文献の冊数にも圧倒されます。
圧巻は、真言密教の教えにまで深く立ち入って解説している事です。私は真言宗なのですが、ここまで深くは知りませんでした。
司馬遼太郎の「空海の風景」よりも数段読みやすいです。
なぜ司馬遼太郎は「空海の風景」を書いたのか、
そして作品の中で何を訴えたかったのか、
理解するのに大変役立った。
本書の最後に登場する、
東北のおばあちゃんの話
(弘法大師は東北へ行かなかったのに
自分の村に来たと信じている)
には、涙が出そうになりました。
また、弘法大師が唐へ上陸した場所では
弘法大師が熱心に信仰されていること、
そして弘法大師帰国後、中国では密教が
絶えてしまったことなど、勉強になりました。