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民法概論 (5)

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 有斐閣
Amazon.co.jpで確認
実は利便性の高い良書。 ★★★★★
すでにレビューにあるとおり、かなりあっさりした内容となっています。
しかし、それが逆に印象に残り、家族法の理解を大いに助けてくれます。
なかなか手が回らない人も多い分野ですが、この文量なら手を出しやすい。
重要性のそれほど高くない箇所は条文を引用して先に進んでいます。
しかし、言及されていない条文はほぼ皆無であり、
むしろ条文素読する時間まで取れない人からすれば、
本書はかなり利便性の高いものと考えることが可能かと思います。
重要性の高い箇所や論点性のある箇所は他巻と同じ整理がされています。
はじめに「かなりあっさりした」とは言いましたが、
正しくは「洗練された」というのが妥当かと思われます。
なお、家族法分野の改正論については突っ込んだ言及はありません。
しかし、これはむしろ家族法理解のために意図的に省いたものとして
肯定的に受け止めています。
また『概論』というタイトルからしてもそれで良いと思います。
それらは他者の本で学べますし、川井先生が単に本書では言及を避けただけで、
他の機会に述べられていることも十分ありえますから。

ひとつ注意点。
他の巻に比べ、誤字・脱字がずいぶん見受けられます。
内容そのものへの影響はとくにありません

シンプルな親族・相続テキストの決定版 ★★★★★
この本は1980年代に第2版が出された「民法入門(2)家族法入門」(有斐閣新書)の実質的な改訂版でしょう。実はこの有斐閣新書の家族法入門は旧司法試験の口述試験対策の特効薬的なテキストとして知られた本で、時間がない人には本当にありがたい本でした。208頁ほどの中に当時の親族相続法に必要な知識はすべて書かれていました。家族法〜特に相続法は中川善之助先生の説が通説的な地位を占めており、それを短時間である程度理解しろというのは無理な話でした。この民法概論5親族・相続も有斐閣新書のシンプルなスタイルを踏襲しています。構成が有斐閣新書とは異なり条文の編成に沿う形で組みなおされています。ケースが必要な方には先生が監修した「判例マニュアルシリーズ」(三省堂)がありますので、そちらを参考にされるといいと思います。司法試験委員を長く勤められただけあって、基礎知識の射程範囲を定められるとなると、さすが川井先生と思うことが何度もあります。細かい学説知識は注釈民法のような大部なコンメンタールがほかにありますから、それを参考にされるべきでしょう。時間と行数が限られている資格試験の論文答案に何が求められるかを考えると、川井先生が、ここまで情報を絞ったのも頷けるはずです。かなり古くなりましたが「中央大学真法会編・司法試験民法に強くなる本」(法学書院)での座談会で先生が述べられていることも参考にしてください。
民法概論に期待されるもの ★★☆☆☆
待望の最終巻なのですが、失礼ながら今ひとつ肩すかしを食った印象があります。
まず、初学者用には向かないと思います。初学者用のテキストとしては
ほどほどの図解や計算式(相続分計算)などがなくては、はっきりいって
わかりにくいと思います。本書にはそういった教育的配慮はほとんどありません。
もちろん、シリーズ共通して具体的事例を用いた解説(ケーススタディ)もありません。

一方、川井博士の民法概論ということで、まとまった記述のある体系書として
期待していた人にとっては、外観からわかるとおり、かなりそっけない一冊です。
私は既巻のような本格的な体系書の登場を期待していただけに正直残念です。
また、家族法は社会の動向や、それにともなう改正論にとりわけ敏感な領域です。
この点を省いて簡潔な解釈論を説かれても理解は深まらないように思います。
それは、専門的とかいう問題ではなく、一般人や学生からみても同じです。
他の本で調べればいいという意見もあるようですが、それを言い出せば何でも
ありです。1〜4巻と比べても、この薄さは、教育的意図によるものではなく、
時間的に余裕がなかっただけではないかと思います。

確かに、シンプルなテキストの需要が高いことは間違いありません。
ですが、それはこのシリーズに求められた期待ではないと思います。
さしあたり、有斐閣アルマかSシリーズあたりをおすすめしたいと思います。
このボリュームで「必要十分」 ★★★★★
ピンクの表紙がまぶしい、民法概論最終巻。民法概論シリーズは、記述は簡潔でも内容は詳細なのが特徴だったが、本書は本文わずか227頁と、かなり分量を絞ってある。それでも読んでみると分かるが、細かい規定は条文番号だけ挙げて終わり、といったような端折り方は一切していない。ちゃんと家族法の全条文の内容を掲げたうえで、必要な論点・判例等の紹介もしっかりなされている。家族法の解説は、この分量でも十分可能なのだ。

家族法の分野では、財産法と異なりやれ現代における家族の在り方だの、政策・立法の妥当性いかんだので話が横道にそれがちであるが、本書ではそういった部分への深入りは避け、あくまで条文の解説中心に記述が進められている。例えば今話題の嫡出推定(772条)の規定の問題に関しては、「立法による解決をまつほかはないであろう。」と華麗にスルー。家族法の教科書にありがちな、コラムの類も一切無い。

また、財産法の部分と重複する論点に関してはこれまでの「民法概論」シリーズの該当巻のページ数を引用するに留めることで記述の重複を避け、内容のシェイプアップを図っている。親等の説明等で使用される家系図や、遺留分及び寄与分・特別受益に関する具体的な計算式の紹介もカットされている。まあ、これに関しては各自参考書や問題演習で補完するとよいだろう。

このように一般的な家族法の教科書と異なり、徹底したスリム化がなされている本書は、あるいは人によっては無味乾燥にうつるかもしれない。しかし、試験対策などで家族法にあまり時間はかけられない、という人や、直前期に最終的な知識の確認を短時間で行いたいという人にはこれ以上無い最良の一品となるはずだ。

追記:6頁に養子が死亡した場合の死後離縁の可否について記載されているが、これは昭和62年改正前の論点であり、現在の811条6項では解決されている問題なので注意。