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首相の蹉跌―ポスト小泉 権力の黄昏

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞出版社
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前作に引き続きいいです ★★★★★
 前作の『官邸主導 小泉純一郎の革命』は、全会一致の総務会を経て自民党本部が呑まなければ何も動かなかったという重層的な非決定システムが小選挙区制度による党本部への権限集中によって解体されていく中で、橋本政権から着々と強化された首相権力の基盤強化をバネに、小泉政権が一気に医療制度や道路公団さらには郵政まで変えてみせたという流れ。これを受けての今回の作品は、なぜ衆議院で2/3という絶対的な安定多数を持ちながら安倍・福田・麻生政権が三年間ほとんど何もできぬまま沈没していったのか、という問題を描いています。結論的にいえば、小選挙区制という選挙制度においてはマニフェストでしっかりと打ち出された政策でないものを実行しようとすれば、信を失うという結果が続いている、ということだろうと思います。

 なぜ小泉首相は政権末期にあんな人物を後継とするような緩みが出たのかという問題に関しては、あまりにも郵政選挙で大勝したからだ、と書かれています。それまでは「抵抗勢力」という共通の敵を持っていた竹中と飯島というソリの合わない二人の司令塔に亀裂が深まったからだ、と。《憲法改正を長期目標として掲げることは自由だとしても、次の衆院選までに実行することは不可能であり、有権者として評価するすべもない》(p.107)というのはフェアな評価なのかもしれませんね。福田政権に関しては、揮発油税などの暫定税率の一時的な廃止阻止を狙った「つなぎ法案」提出を最後の段階であきらめたことが、ボタンの掛け違いだったと語っています(p.303)。つなぎ法案を成立させて与党が優位に立つことによって、初めて本格的な話し合い路線が生まれたハズだったというのは、なるほどな、と。そうなれば道路財源の修正や日銀総裁問題もバーターで取引できたかもしれない、と。
是非総選挙前に読みたい。。。 ★★★★★
小泉政治を考える上で、そして現在の自民党政治を考える上での格好の一冊。結論からいえば小泉内閣が出来たことで自由民主党という戦後日本の保守政治のど真ん中にいた政党の命が5、6年延命され、その後の安倍、福田、麻生といった三総理の迷走ぶりは本当に情けないと思ってしまうそれが本書を読んだ答えである。自民党が戦後作り上げた官僚依存、族議員やりたい放題の過去の自民党政治を今回の総選挙でいかに打破できるか、とても重要な選挙、多分戦後最も重要な選挙となると改めて自負する。小泉政治の評価できる点、評価できない点とも多々あるが、最大の功績は「自民党をぶっ壊す」といった小泉氏が本当に自民党をぶち壊したところであろう。(実際にこのような現状を彼が望んだかどうかは別として。)
中選挙区に戻すべきとか、先祖がえりといった旧来の政治を志向すべきような魑魅魍魎とした政局の裏側を見ると、本当に馬鹿馬鹿しい。冷戦崩壊以前のアメリカに守られ、高度成長を謳歌した頃の経済環境とは裏腹に、党内の政治、政争に明け暮れた自民党の崩壊はもう仕方がない事実である。
本書を通じて、政治とはまさにその時点時点の政治力学によって動いているのだと痛感させられた。 ★★★★★
ようやく、衆院が解散した。政権選択選挙と言うが、誰が見ても自民党の劣勢は明らかである。

本書は、小泉の長期政権にはじまり、あの郵政解散選挙からの安部、福田、そして麻生にいたる首相の交代劇を時系列に追った記録である。

その時々の背景や力学が浮き彫りにされて今の日本の政治の現状をよく理解できる。

本書を通じて、政治とはまさにその時点時点の政治力学によって動いているのだと痛感させられた。

ただ、これらの政争の結果、国民にとって本当に必要な政策とはどんどんかけ離れていっているような気がしてならない。

今度の選挙によって、真に国民に必要な政治が行われることを期待したいが、この国ではまたいつか来た道を歩いてしまうと思うのは私だけだろうか。
小泉劇場三部作完結編 ★★★★★
 『官邸主導―小泉純一郎の革命』、『経済財政戦記―官邸主導小泉から安倍へ』の
続編にあたる一冊です。

 小泉内閣の閣僚であった麻生総理大臣がそれと完全に決別した所から本書は
始まります。そして時を少し戻して小泉内閣末期=小泉改革とは*1)どういうもの
だったのか?を復習した後に、安部内閣とそれを引き継いだ福田内閣の動き
それも政権中枢部の動向を追っています。

*1)例えば「小泉首相の人気は世論に従うことから得られたものでは無く、世論を
変えることが出来るという力を示すことによって得られた」(p77)とか、小泉改革
には2本の軸=竹中総務相&中川幹事長ラインと飯島秘書官&与謝野経財相が
あった等。

 小泉改革を引き継いだとされる安部内閣と福田内閣は、実際短命に終わって
しまいました。当然、引き継いだと言いながら、中身は同工異曲だったのです。
当然と言えば当然でしょう。その一部を覗いてみると・・・

・安部首相は「あいまいさ」や「変節」を使用した。これは自民党のお家芸。
・郵政造反組を復党させることで、与党に対しての「解散権」を失った(時の
 権力者に逆らっても1年で戻れるのなら、耐え忍べばいい、と。これが数年
 なら兵糧が切れてどうにもこうにもならなかった、と)
・安部内閣最後の14日の裏側。
・福田内閣の(恐らく数少ない実績である)薬害肝炎訴訟の和解に至った舞台裏。
・そして大連立構想の正体。
・総理の座を退いた小泉氏の精彩を欠いた動き。

 等々・・・

 更に読み進めると安部内閣と福田内閣には興味な共通点があるのです。

1)複数の諮問会議を設置した。でも結果は出ていない・・・
2)首相補佐官の重用。法律上、補佐官は首相個人のアドバイザー。なので人事権
 は無いのに、なまじ国会議員を使った為か、それを振るおうとした人がいる。
3)携帯電話の多用。極度の秘密主義。ちなみに小泉首相は携帯を持っていなかった
 と(就寝時の非常時用を除く)。
4)困った時の道路財源の一般財源化・・・ここで著者はマニュフェスト型の選挙
 では、そこで取り上げていないことを行っても、唐突感故に(さらに準備不足
 も当然ある)国会対策としても世論対策としても影響を成さない、それどころか
 悪影響だと論破しています。

 首相官邸の伝える第一級のノンフィクションです。来るべき総選挙の前に、政権
与党の実績を評価する為にも一読する価値有ります。約400pの本ですが、その時々
の状況を見事に再現した筆致により一気に読ませます。
ポスト小泉の「つまづき」 ★★★★☆
「官邸主導」を売りにした小泉政権と、それを目指そうとして挫折した(もしくは、しつつある)安倍・福田・麻生政権との違いは何か、というのが本書のメインテーマです。
まさに、小泉後の歴代「首相の蹉跌」を扱ったルポ。

メディアでは、首相個人のキャラクターばかりが問題にされますが、ことの本質は、実はスタッフ登用の手法の相違にあった、と本書は指摘しています。以下のような具合。
・「破壊者」のイメージが強い小泉首相、実は腹心・飯島秘書官を通じて巧妙に官僚機構を動かしていた。
・「お友達」ばかり重用すると批判された安倍首相、実は真の腹心を作らなかったために自滅した。
・官僚べったりと思われていた福田首相、実は懸命に「官邸主導」に努めた挙句にジリ貧になった。そのパターンはよくよく見れば安倍首相とそっくり。

きめ細かい取材に基づく記述はなかなか読み応えがあるし、安易な個人攻撃に堕していない点にも好感が持てました。
ただ、「蹉跌」の分析とか教訓を期待するとやや当てが外れます。政権運営を物語的に記述して、筆者の得意分野である「小泉政治」との比較を時々挿む、というスタイル。