PET,MRI,LORETAがとらえた、瞑想が脳に及ぼす影響
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今まで瞑想時や変性意識状態時の脳に関する本を何冊か読んできましたが、
測定法は大抵、EEG測定がメインだったので残念に思っていました。
脳波の情報だけではわからないことも多く不満に思っていましたが、
やっとPETやSPECTやMRI、LORETAといった最新の測定機器を使用した瞑想時の脳状
態についてのデータが見つかり、大変感激しました。
(こういった報告は論文で出ていて専門のサイトで有料で閲覧できるのですが、
本に掲載されたものは初めて見ました。)
この瞑想時の脳状態についての報告書は、熊野 宏昭 氏によってまとめられま
したが、各データは過去16年間に発表された論文の中からピックアップされたもの
です。PETで糖代謝、血流量の変化を、MRIで脳の形状の変化を、LORETAでγ(ガン
マ)波(瞑想で頻発することが報告されれている脳波)を測定。これら一連の画像
データはフルカラーで掲載されています。
これらのデータから結論づけられることは、
「止瞑想(サマタ瞑想)、観瞑想(ヴィパッサナー瞑想)、
どちらの瞑想でも、継続的に行うことにより、脳の持続的変化が確認される」
「年齢による脳の萎縮を瞑想で予防することが、ある程度可能である」といった
明るい展望です。
この本は、東京大学駒場キャンパスにて行われた第6回日本認知療法学会の
シンポジウム『観照・瞑想・坐禅のブレインサイエンスと精神療法』で
発表された内容に、2、3の論文を加えたものです。
瞑想をどのように精神医学に活かすことができるのか?について、
医師、博士、教授、心理療法家、僧侶などの多彩な顔ぶれが多角的な視点から、
有効なアプローチや症例ついて語っています。
出版部数が少なく、現在、非常に手に入りにくい状態ですが、
得るところの多い充実した内容なので、もっと多くの人に読んでもらいたいです。