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蓮如―聖俗具有の人間像 (岩波新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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蓮如という僧侶は、その宗教史上にしめる重要性に比して、現代では意外に知名度が低いようだ。今日の日本仏教の最大宗派といわれるのは親鸞(しんらん)を開祖とする浄土真宗だが、蓮如は、その発展のいしずえを築いた15世紀後半の本願寺宗主である。蓮如は、下積みの境遇から身を興し、教団の権威に抗して戦い、社会の底辺に生きる人々に常に温かい眼差しを注いだ。そして、彼らにも理解できる平易な言葉で教えを説き、やがて本願寺を日本一の教団に成長させていった。そうした蓮如を、著者の五木寛之は「宗教的共同体のうちに中世民衆のアイデンティティを確立した人」として捉え、この本は「いわば聖俗具有のモンスターともいうべき蓮如への、私的なオマージュ」であるとしている。著者も指摘するように、たしかに親鸞が自己の「罪深さ」への深い自覚から出発した求道者であるとすれば、蓮如は自己の「卑しさ」への自覚のもとに、現実に生きていく人間の「悲苦」を原点として出発した伝道者であるとのイメージが強い。そのため彼の俗物性が古くから取りざたされてきた。
しかし、それは蓮如自身の個性であると同時に、彼の生きた15世紀後半という激動の世が求めた時代の個性というべきなのかもしれない。著者もこの本の中で、蓮如という人物の生涯を、彼の生きた時代という側面に強くスポットを当てて描いている。そしてそれが逆に、500年の時を超えて現代でもなお門徒たちに「蓮如さん」と呼ばれ親しまれている蓮如のたぐいまれな個性を、より際立たせる結果につながっているようだ。(水戸義継)
蓮如という方法 ★★★★★
1415〜1499、蓮如は85年の生涯をいきました。
ヒトヨノムナシ応仁の乱。応仁の乱で五十ちょいだったワケです。
中世日本の制度的矛盾のまっただなかに生きたともいえます。

さらに、宗祖である『親鸞の信仰理論そのものが、極度に危ういぎりぎりの地点において結晶した、高度な思想』(P99)を意訳して信者に伝える必要もありました。

著者は、蓮如という方法が、一見俗ではあるけれど身体感覚をともなった、魅力的なものと見ています。

著者のあとがきです。
『聖俗具有のモンスターともいうべき蓮如への、私的なオマージュともいえよう』

どえらいやつ。
これが、蓮如にたいする感想になりました。
本宮ひろ志的キャラクターなのかもです。
聖俗具有の魅力的な人物として描かれた蓮如 ★★★★☆
 15世紀に浄土真宗の普及に努めた、本願寺教団中興の祖である蓮如について著者は、小説や評伝ではなく、その生涯の事跡を時系列に沿って描き、蓮如という、親鸞への純粋な信仰心と成り上がり者特有の俗物さを兼ねそなえる、一筋縄ではいかない人物への思い入れをたっぷり込めて書き綴った、とても読みやすい「蓮如」入門書だ。

 著者は蓮如について、権謀術策に優れた一流のアジテーターだが、決して門徒衆の行動をコントロールしていたわけではなかったと述べ、彼は様々な出自の雑民の集合だった門徒集団の象徴的存在だったにすぎず、一向一揆を担った門徒集団のエネルギーに、彼も翻弄されたというのが実態だったろうと推測する。この著者の歴史観には非常に同感させられた。
五木がやさしく語る蓮如像 ★★★★☆
 五木寛之の大きな仕事の一つは蓮如をクローズアップしたことだ。何かで読んだのだが江戸時代までの浄土真宗は蓮如中心だったという。親鸞に急速にスポットがあてられるようになったのは明治の清沢満之の仕事による。明治以降の知識人は競って親鸞を論じ、小説化した。その中で、蓮如は今度は逆に不当に低く評価されるようになってきたと思う。何しろ「歎異抄」を禁書扱いにしたのだから、悪役にされても仕方がない。
 本書はNHKで放送された「人間講座」をベースに書かれた。非常に語り口が柔らかく、読みやすい。ただ、蓮如の人物にスポットを当てすぎ、その信仰のレベルの高さに言及されることが少なかったのは残念である。ゆえに、星を4つにとどめる。