分かりやすい。文句無く満点。
★★★★★
図解雑学シリーズは名著が多いが、この本は中でも傑作。
著者の雨宮神父さんは、上智大の教授で、旧約聖書学では並ぶ人の少ない有名な学者である。師の本の多くは、既に信仰や知識を持っている人向けの本が多く、出版元もカトリック系出版社か、たまにNHK出版から出る程度で、この本のように、フルに一般人というか聖書知識ゼロベースの人を対象にする本は珍しい。ことに、新約ならまだしも、旧約となると、入門書も数少ない。
イラストや図解を多用し、文字も大きく(おかげで弱視気味の私は大助かり)、分かりやすい言葉を選びつつも高度な内容に踏み込み、旧約入門としては十分以上である。
神父さんの本だからカトリック寄りということはなく、プロテスタント、カトリック大嫌いの福音派の人でも、安心して読める信頼できる内容である。特に、出エジプト記からソロモン王あたりの物語の解読と、信徒にも分かりにくい詩篇や知恵文学(伝道者の書など)、十五預言書にも、大まかながら導入には十分以上な細かい説明が加えられており、聖書を何度も通読したようなつわものにも、ぜひ手に取ってもらいたい。
この本がつまらなければ、サンヘドリン(ユダヤの最高法院、つまり最高裁)に引き立てられて、嘘つきの罰で石ぶつけられてもいいですよ。それくらい、自信持って勧められる、珍しくひきつけられた一冊でした。