江川氏の「坂本一家失踪に関して、オウムが怪しい」という
論調には、ごく普通の一般人である自分は、「本当にそう
だろうか。何事にも慎重に吟味しなければ」という感想を
持ったし、当時の世間の見方も、事件発生後かなり頻繁に
テレビに出て独自の意見を述べていた某推理作家に影響されてか、
「本当にオウムのしわざであったら、プルシャ(オウムのバッジ)
を落とすなんてことはしないだろう」というものでした。
結果的には、江川氏の推察はすべて正しかったことになるのですが、
彼女がこれだけのことを公表していたにもかかわらず、
これに耳を傾けなかった(傾けたくなかった?マスコミや世間
の責任は重いものがあると言わざるをえないと思います。
また私たち一般市民も、「不正・犯罪は許さない。もしマスコミが
不正や犯罪を摘発するのに及び腰ならば、市民自らが立ち上がって、
これらの摘発を促す」という強い姿勢でのぞまなければ、タブー
(オウム事件の場合は「自由」が保証されるはずの「宗教」)を
恐れるマスコミは動かないかもしれない、と決意を新たにさせられた
一冊でした。