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いまなぜ信金・信組か―協同組織金融機関の存在意義

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済評論社
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評論家的で説得力に欠ける ★★☆☆☆
本書の執筆は、政府の規制改革・民間開放推進会議が2006年12月25日に発表した答申の中で、協同組織金融機に関する法制度の見直しがあり、これにより協同組織金融の存在意義に危機感を抱いたことが発端と思われる。

しかし、内容は従来の協同組織金融機関のあるべき論(制度の誕生、相互扶助精神、中小企業金融の砦等)が多く、これからの協同組織金融機関は何を強みとしていくのか、銀行との差別化をどう図るのか、そのための具体的施策は何か、といったものがほとんどない。(米コミュニティバンクの事例があるが、あまり説得力がない)

例えば、「信金・信組が協同組織金融機関制度を維持していることは、中小企業を対象とする金融機関としての専門性によるものである(P21)」とあるが、この「専門性」とはどういうものなのか、それは協同組織金融機関にしかない専門性なのか。

あるいは、「協同組織の船はどう闘うのか(P40)」に対しては、「船は船長(経営者)に委ねられている。船長の仕事は、先を読むこと、そして決断し、実行することだ。(中略)人々が何を求めるかを先読みして動いてこそ経営者である」、「もう一つは協同組織間の連携である」と述べているが、前者は当たり前のことであり、後者は具体的なものが述べられていない。

「協同組織金融機関がなくなったら、中小企業の金融を担う最後の砦がなくなる(P220)」といった論拠だけでは、信金・信組が協同組織形態としての存在することの理由付けにはならない。中小企業向けに幅広い金融サービスを提供するオリックスなどもあり、規制を撤廃したら、新たな魅力をもった事業者が参入してこないとも限らない。

資金需要の旺盛だった高度成長期であれば、弱い立場の中小企業金融の担い手は必要だったが、(同質的なサービスにおいて)オーバーバンキングと言われる現在はどうなのか。
仮に「銀行法との垣根を取り払うので自由に経営をしていいですよ」と言われたとき、今の経営者はどのような判断を下すのか。

地銀やメガバンクなどの市場に参入するという意思決定を下すコミュニティバンクは少ないのではないか。結局のところ、規制取り払っても、戦略の観点からみれば、自分たちの今の市場で戦わざるを得ないのではないか。
事実、協同組織金融から銀行へ転換したコミュニティバンクは数えるほどしかなく、協同組織制度の枠組みが廃止されても、中小企業金融担い手が減ることはないと思われる。

本書は現場や顧客の声がなく業界等の一方的な見地から述べても説得力に欠ける。
コミュニティバンクのあり方の1つとして巣鴨信用金庫創合企画部著「ホスピタリティ」が参考になる。