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そらトびタマシイ (アフタヌーンKCデラックス)

価格: ¥920
カテゴリ: コミック
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
   圧倒的なイメージの奔流を、繊細なペンタッチと奇想をもって、見事に紙の上に具現化する職人肌の表現者、五十嵐大介。寡作なことでも知られる彼の、ファンにとってはまさに待望の初短編集。「ああ、これだけのものはじっくりと時間をかけて作らなければ出来ないだろうな」と、勝手に納得してしまうほど、各作品の完成度は高い。

   たとえば「すなかけ」では、生まれてはじめて学校をさぼった少女が、体から砂の出る特異体質の女性に出会うことから始まり、魔法をかけられたかのように透き通った日常が描かれる。たんねんで細やかな人物や情景の描写は、そんな生活を大切にしたくなる少女の気持ちの変化を、実に自然なこととして読み手に感じさせる。一方で、繊細なあまり壊れてしまいそうなはかない雰囲気も、物語と絵の両面から少しずつかもし出されていく。そして、今までの穏やかな微風が突如突風となったかのように、ダイナミックなクライマックスに至る様は圧巻としか言いようがない。

   唐突に世界が開けるような驚くべき瞬間は、収録されたほかの短編にも立ち現れ、その息をのむようなまばゆい感動こそが、五十嵐作品の醍醐味(だいごみ)である。人間本位の考え方では説明のつかない奇々怪々な世界が描かれるため、ややグロテスクな面もあるが、すべてあるがままのものとして豊かに描かれるため、決して後味は悪くない。奇想天外を表現する最高の手段のひとつとしての漫画が堪能できる、鮮烈な1冊。(横山雅啓)

五十嵐大介を知らない人に,まず最初に読ませたい一冊 ★★★★★
 初期の頃の作品で,短編集。私が一番好きな漫画家の,一番好きな一冊です。

 ジャンプの漫画には友情と努力と勝利があります。
 この作品には,それ以外のすべてがあります。
生きることと食べることへの静かな讃歌 ★★★★★
表題作は、「食べる」ことの不思議を物語っている。「食べる」ことは、他の生きものの「身体」と「命」を、自分の「身体」と「命」に取り込むことだ。「生きる」とは、生きものを、おいしいと思い「食べる」ことである。作者の透徹したまなざしには、厳しさと同時に、命を慈しむやさしさがある。同時に「取り憑かれる」ということの恐怖を、これほどに絵で見せてくれるマンガも、今までになかった。現代のマンガという表現の、最高の達成がここにある。すべてのマンガ・ファンに薦めたい短編集である。
これはすごい ★★★★★
ここまで良心的に描かれたマンガはなかなか知りません。
コマ一つにまで魂が宿っている。
その場に存在する空気までも描ききる画力。
童話を踏襲したような物語。
話によって人物のデフォルメの比率を変えたりと、かなり高度なこともやってのけてますが、
それらが織り成す作品群は漫画というよりは絵物語と言ったほうがいいような気がします。

しかし、本当にすばらしいのですが、一つの作品についてあまりに情報が多く、また純粋であるために読んでいて少し疲れてしまったのも事実です。

私見に偏ってしまいますが、僕はマンガは漫画であって欲しいと願う人間であり、マンガが娯楽の域を逸脱することには少し賛同しかねるのです。
保守的な考えなのかなあ…

しかし使い捨てのようなその場㡊??のぎのマンガがゴソゴソと溢れてきている今の状況から考えると、こういうマンガに出合えたことは本当に嬉しいことでもあります。

ただただ、感涙 ★★★★★
 五十嵐大介氏のデビューは講談社月刊アフタヌーンの新人賞である四季賞の大賞を受賞したことに始まる。その後、大賞作の流れをくむ「はなしっぱなし」という一話読み切りの連載がアフタヌーン誌上で始まった。が、氏には月刊のペースも過酷だったようで、結局「はなしっぱなし」は時折はっとさせられるイメージを見せるものの全体的には氏独特の世界観が未消化なまま描かれてしまうという残念な結果に終わった。
 そして「はなしっぱなし」連載終了後、数年経ってアフタヌーンにこの短編集のタイトルにもなっている「そらトびタマシイ」が掲載されたとき、この人は希代の天才だと確信すると同時に、この作品に出会えたことに大きな、大きな喜びを感じた。

 この短編「そらトびタマシイ」は、いわば畡形、グロテスクなモノやコトが全編をおおっているのだが、それが淡々と日常に組み込まれ、読んでいて全く違和感がない。さらに描かれている物語は決してポジティブなものとは言い難いのだが、読後に素晴らしい爽快感をおぼえてしまうのだ。

 連載終了後初の短編「そらトびタマシイ」が掲載された後、1年半ほどの間隔で「熊殺し神盗み太郎の涙」「すなかけ」「lepain et le chat」各短編が発表された。そしてそれら全てがグロテスクと日常、現実世界とイマジネーションの奇跡的な融合によって珠玉の作品になっている。
 すべての人に是非読んでほしい1冊だ。