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はなしっぱなし (下) (九竜コミックス)

価格: ¥1,155
カテゴリ: 単行本
ブランド: 河出書房新社
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雲の呼び声の彼方に ★★★★★
五十嵐大介のマンガの空は、不思議だなあ。あそこに空気人(クラゲ人間)が漂っている。太陽は、空が深呼吸するための口だったんだ。どうしてあの入道雲は、何日間も同じ形で、同じ場所にいるんだ?滅んだ動物たちのために、空が真っ赤な顔をして怒っている!お前、良い奴だったんだ。命のために、泣いてくれてるんだな。最近、忘れていてすまなかったなあ。ただ、雲を、ぼんやりと、いつまでも、眺めていたい。そんな気持ちにさせられる。
やっぱりステキ☆ ★★★★★
友人にすすめられて『はなしっぱなし(上)』を読んで以来、すっかりはまりました。日常の何気ない一コマにドラマを見つけるあるいは生み出す、といった感じ。この漫画読んだら、何もない日常がつまらないなんていえなくなるよ!
不思議 ★★★★★
「はなしっぱなし」は幻想綺譚で、中にはノスタルジーを刺激するようなセンチメンタルなものもあるけれど、その根本にあるのは、自然賛美なのだと思う。人間という生き物は自然体系の中の破壊者として存在する。我々は自然体系からはみ出したところにいるのではない。自然の中にいるのだ、というのがというのが作者の一貫した姿勢ではないかと思う。そして、本当に人間は破壊者でしかないのか? とも問いかけているように思うのだ。

とはいっても、そういう固いメッセージが前面に押し出されているわけではない。作風は固いどころか、変幻自在だ。しっかりとコマ割がなされているけれど、いきいきとした絵が枠線を破って流れ出てきてしまいそうなのだ。頁を開けばすぐさま、イマジネーションの世界を堪能できる。

不思議な話だなぁ、と思う。でも、すぐに、耳を澄ませてみれば世界の成り立ちとはそもそも不思議なものなのだ、ということに気づく。上巻と同じく、数ページのショートショートで構成されていて、どれもストーリーと言うものはなく、アイディア一発勝負といった感じが潔い。

絵もうまい。草むらが描かれれば草いきれをリアルに感じるし、海が描かれれば波の音が聞こえてくるのだ。この人の漫画のすごいとこは、同じようなコマが重なる毎にそこに描かれているものの印象が深くなっていくところだ。草いきれは幾重にも重なり息苦しくさせるし、波の音は幻聴みたいに耳を離れない。気がめいった時なんかに開くと、なんだか新鮮な空気を吸い込んだ気持ちになれそう。

ただ、カラー作品と、最後に何点か収録されているイラストはやっぱりカラーで見せてほしかった。