完治を信じて
★★★★☆
著者の前作「がんでも私は不思議に元気」の最後で、抗がん剤が効かなくなって主治医が薬の変更を提示したとき著者は抗がん剤そのものの中止を申し出る。そのあたりの事情がよくわからなかったのだが、著者の最後の記述と主治医が書いたものを読んで納得できた。主治医は新しい抗がん剤の効き目が1年で、その後はまだ承認されていない治験薬に期待することになるという。著者が結局抗がん剤を拒否し主治医も強く推せなかった事情が垣間見える。
著者はがんから完全に解放されたい、すなわち完治への願望から未知な可能性を秘めたものに挑戦を始める。最後には力尽きてしまったが、その強靭な生命力は他のがん患者に勇気を与えてくれたと思う。
病と共に生きること
★★★★★
30代の女性です。
先日の新聞で、「日本女性の約10人に1人は乳がん」という記事を読みました。
まず思い浮かんだのが、写真家・アラーキーが撮影した、歌人・宮田美乃里さんのヌード写真、そして知人が実際に苦しんでいた時の姿でした。彼女たちも、私と同じ30代。女性にとっては、衝撃的な事実を見せつけられる病です。
この病で、今春亡くなられた絵門ゆう子さんの闘病エッセイである本書を読んで、私にとっても決して遠くにあるものではない、ということを実感しました。絵門さんは、病気と対峙する赤裸々な姿、繊細に揺れる正直な気持ち、現在の患者と医療関係者、家族、周囲の目とそれらの距離感、そして命というものを、ストレートに伝えています。
特に、当事者側ではない私たちの何気ない一言や態度、病気に対する未熟な知識が、彼女たちをどのくらい追いつめていたことか、この本を読んで初めて知り、深く考えさせられました。
「死」という重苦しく、目を逸らさずにはいられない現実なのに、絵門さんの意志が強くて明るくユーモアのあるキャラクターが、不思議なほど軽快に対面させてくれる一冊です。
今は、誰もが病の一つや二つを持ちながら生きている時代とも言えます。進行の度合いは違えど、その病とどんなふうに向き合い、生きていくのか。私たちにとって、共通のテーマではないでしょうか。
絵門さんの「“余命”=“余りの命”だなんて、失礼でしょ!」という言葉、おっしゃる通りです。命は、長さではなく、内容じゃないかと思いました。そんな風に教えてくれた絵門さんの生き様はアッパレです。
挿し絵がとても可愛いです
★★★★★
絵門さんが頑張っていた瞬間瞬間が感じ取れて素晴らしい作品です
そしてとても可愛い挿し絵が印象的でした
この挿し絵はどなたが描かれたものなのでしょうか?
分かりませんが素朴なモチーフで今回の絵門さんの本にはしっくり
きていて感動を覚えました
絵門さんありがとう☆そしておつかれさま・・・
前向きでいること
★★★★★
自分が同じ状況に立たされたとき、彼女のように毅然と振舞えるだろうか。その活動が例え自分を元気づけるためであっても、自分以外の誰かのために、同じ病気で戦っている仲間のためにここまで前向きに病気と戦った彼女に感動しました。ただ伝えるだけではなく、その文章の中にある彼女の優しさとユーモアと、そして旦那さんへの愛といろんな姿を垣間見ることができました。読み終わった後、今の自分を振り返り恥ずかしい思いでいっぱいです。こんなにも幸せな環境にいるにも関わらず、不平不満をいう自分に。読み終わった後に必ず何かが自分の心の中に残る1冊です。素敵な彼女の笑顔が忘れられません。
絵門 ゆうこのがんとゆっくり日記を読み終えて・・
★★★★★
絵門ゆうこさんによる最期のエッセー集『絵門 ゆうこのがんとゆっくり日記』を読み終えての感想です!
今日を全力で生き、又常に明日を生きる事を信じ、世の中の多くのがん患者さんへの励ましや絵門さん自らの各地での講演活動を通じ「生きる事への強い執着」及び「常に明るく前向きに生きる」を前面に打ち出しがん患者さんのみならず、そうでない世の中の方々へ絵門さん自身による生き様を全力で綴り続けたエッセー集です。
また私の旧友でもある坂本 歩さんのペンによる限りなく美しく優しい挿絵なども随所におり込み、見逃せない単行本に仕上がっており、後世にも記憶に残る単行本としてベストセラーになる事と確信しております。是非!皆様も読んで頂ければと思います。