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新装版 播磨灘物語(3) (講談社文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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藤の花が咲いて ★★★★☆
第三巻は遂に、山場の伊丹有岡城監禁です。
「消えた」といだけで裏切ったかどうか以前に生死さえ定かでない官兵衛の人質、一人子松寿丸(後の長政)を有無を云わせず、
「殺せ」
という信長に逆らえない秀吉。あれだけ秀吉の為に奔走した官兵衛なのに、あくまで信長の怒りを恐れている様は、冷たいなと思いました。後年殺されかけた当人の長政(松寿丸)が豊家滅亡の一端を担うべく関ヶ原東軍で大活躍したのも頷けます。彼にすれば、「何が豊臣恩顧だ!!」といったところでしょう。また、調べる余地を与えずに命令する信長も、村重の裏切りで追い詰められている感じでした。
一方、湿気の去らない暗い監獄に閉じ込められた官兵衛は、深い庇の下に真冬に芽吹いた白い藤の蔓に運命を託して、「これに花が咲いたら自分は助かる」という願掛けをします。春が来て藤が咲き乱れ、官兵衛は希望を持ち直し、遂に秋口に救出されるのですが、体の節々が強張って歩けなくなっていました。まずは体を治そうと湯治に出掛けた先の有馬(その宿坊が池坊)で、「この世で唯一自分に似たもの」であった竹中半兵衛が、松寿丸を自分の領地に匿い、そしてその年の夏に亡くなっていたことを知ります。
半兵衛の死を聞かされた官兵衛の慟哭は、何故かわたしに、イエスが役人に連れ去られた後の、ペトロの慟哭を想い出しました。

〜〜そのとき、ペトロは呪いの言葉さえ口にしながら、「そんな人は知らない」と誓い始めた。するとすぐ、鶏が鳴いた。ペトロは、「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われたイエスの言葉を思い出した。そして外に出て、激しく泣いた。〜〜マタイによる福音より〜

監禁前後で官兵衛が全く別人になっているので驚きます。思考方法はそのままですが、思考の根本にある感性が違っていて、まさに細胞から生まれ変わった感じです。

三木城主別所長治の若いけれども潔い君主ぶりは哀しかったです。最期に叔父離れ出来て良かった…(この人の叔父たちは本当に二人とも…)。

荒木村重をもっと詳しく描いて欲しかったという不満が遺るので☆4つ。
なぜビジネスマンが歴史小説を好むのか? ★★★★☆
官兵衛が、反織田となろうとする荒木村重を説得しに行くのだが、囚われの身となる。殺されることこそ無かったが、長い間、身動きも十分にとれない狭い牢に閉じ込められることになる。閉所恐怖症の私など、ぞっとする話であるが、このあたりから話が盛り上がってくる。
無事、助け出されてから、織田・豊臣軍が毛利に挑み始めるまでも、駆け引きやら騙しあいやら、生々しい人間模様が描かれ飽きさせない。
自分のためなら親しい人も平気で裏切る人がいれば、信義に篤い人もいる。人それぞれ、好みのタイプはあるのだろうが、そうした人物像に自分に照らし合わせてみたり、逆にどうしても好きになれないタイプを現実世界の人と小説の中の登場人物と引き合わせてみたり。
ええかっこしいかもしれないが、やはり私は黒田官兵衛や竹中半兵衛が好みの人物像だなあ。宇喜多直家は言うに及ばず、強烈な上昇志向の織田信長や豊臣秀吉にもちょっとついていけない。
ビジネスマンが歴史小説を好むのは、日々の仕事におけるステークホルダー間での神経戦と重なり合うところがあるからだろうか。
信長滅亡の理由 ★★★★☆
 第三巻は黒田官兵衛のもっとも有名なエピソードが大半を占めている。
 織田に謀反をした荒木村重を翻意させるべく伊丹・有岡城に行った官兵衛が捕縛され入牢させられる事件。
 この事件の流れを読んでいて感じたのは、「信長滅亡の理由」だ。

 第二巻のレビューで「官兵衛は織田家の直参ではないので、織田家のいい面も悪い面も知ることができる」と書いたが、この巻では「悪い部分」が如実に表れている。
 松寿丸の件、別所家大量虐殺の件などがそれだ。
 この巻を読むと「信長は滅びるべくして滅びたんだな」と思わざるを得ない。

 後は最終巻を残すのみになった。
 本能寺の変に官兵衛はどうかかわっていくのか、「関ヶ原」の時の九州統一はどのように行われたのか読んでいきたい。
 第四巻も楽しみだ。

 余談だが、二、三巻を読んで「竹中半兵衛はもっと世間に認知されるべきだ」と思った。
 たぶん歴史に興味がない人で半兵衛を知っている人は皆無だろう。
 しかし、その人間性、考え方などは尊敬するに値する人物だと思う。
 もっと社会的認知が上がってほしいと切に願う。

 
官兵衛の数奇な運命 ★★★★☆
黒田如水に囚われの時期があったとは知りませんでした。しかも、肉体に大きなダメージを追うほどの…。如水が頭巾をかぶっている理由を初めて知りました。
第3巻は、如水が入牢するところから、秀吉の播州平定まで。最後のほうでは、四国にまで遠征し、「夏草の賦」での長曾我部を反対の立場からみることができます。
官兵衛が策略家(参謀)ではあっても大名ではないからか、本作でその活躍ぶりはどこか控えめに描かれています。むしろ、官兵衛という主人公を中心におきながらも、そのまわりの武将たちの人間模様のほうが生き生きと(または切なく)表現され引き込まれてしまいます。
全編を通して淡々と書かれた印象を受ける作品です。
天知 ★★★★☆
この巻は、いわゆる荒木村重が信長に対し、謀反を決心する
ところから描き出し、官兵衛の属する小寺家が毛利家へ再度
傾き、官兵衛は村重の城で入牢させられ、衰弱死をしそうな
ところまで追い詰められ、ややあってなんとか播磨を平定す
るに至るのだが、この読んでいて、故・司馬氏はこの書にお
いて信長という人間を狂人のように描いている。たしかに著
者の言うとおり、信長の虐殺行為というのは、尋常ならざる
ものを感じるが、司馬氏の文言だとまた説得力も増す。さら
に、秀吉の人間性も露骨に描いていて、あさましい部分、素
晴らしい部分、愛憎混ぜこぜで描いている。また敵方の小早
川隆景については、言葉は少ないが、実に高い評価を与えて
いるのではないかと思う。毛利の体質というものを肯定はせ
ずとも、情として好んでいるのかもしれないですね。
 主人公たる官兵衛は、実に心の正しい人間として描写され
ています。竹中半兵衛と供に秀吉軍団の知の双璧なのだが、
この二人はずっと秀吉の嫉妬を恐れていたというのは、本書
のみならず各書籍で述べられていること。教養や知性が雲上
ともいえるレベルに達していると、俗物的な心がどこかに消
えてしまうのでしょうかね。しかし、関が原での息子の働き
を起こる晩年。おそらく第四巻をよめば官兵衛を読めば明ら
かになる。のでしょうか・・・。