19年のキャリアののち、リリーは個人的な恨みを晴らすために、認可外の危険なゲームにのめり込む。しだいに大胆さを増していく動きを通して、彼女は強敵の注意を引き、自らの命を危険にさらす。だが、緊張と憤慨で勇みがちになりながらも、自分の命が一瞬で奪われる可能性を承知してもいた。彼女には、来るときが来れば戦おうという決意があった。
同じくCIAのエージェントであるルーカス・スウェインは板ばさみに苦しむ。彼の任務はリリーを連行するか、その行動を止めること。だが、彼自身もリリーのゲームに引き込まれ、危険な綱渡りを始める。世界的大事件の発生を避けながら、執拗につきまとう敵と戦うのである。リリーは目の前の仕事に集中しながら常に背後を警戒する。だが彼女は、前途にある致命的な危険に気づいていなかった…。忠節にどれほど価値があるかということにも。
息をのむアクション。リンダ・ハワードをロマンティック・サスペンスの巨匠と呼ばしめる官能性。読者の心に住み着き、そこで息をする個性豊かな登場人物たち。情熱と驚きの詰まった大胆なスリラー、『Kiss Me While I Sleep』は、リンダ・ハワード作品のなかでも特別に興味深く、複雑な小説である。