引っ越しの後片付けに忙しいお母さん。引っ越し2日目から仕事に行ってしまうお父さん。
退屈で、手持ち無沙汰で、かといって一緒に遊ぶ友達もいないかなえのもとに
「とん ことり」と届く小さなプレゼント…。

引っ越して知らない土地に来たかなえの心細い気持ちと、友達がいなくてつまらない気持ち、
プレゼントに驚き、わくわくする気持ちが手に取るように分かります。
そして。。。
それまでとはまったく対照的な、最後の二人の表情が、なんともいえず朗らかで、
きらきらしていて、ほっとします。

我が家もこの春、引っ越しを経験しました。
新しい土地でも良いことがあるよと言いたくて、子供のために読んだ絵本でしたが、
親である私自身も元気付けられました。

お引越しをした女の子のちょっと不安な気持ちと同時に、新しいお家でのわくわくを描いた絵本。

新しい街へ引越しした時、お家の勝手も違うし、周りのお友達も知らない子ばかり…
そんな不安な気持ちの時、　”とん　ことり”　とお家のポストから音がしたらわくわくしちゃいますよね。
しかも、入っている物がお花だったり、したら？！

林明子さんが描く女の子の表情は、正確な描写と共に、とっても愛らしい女の子。
絵本の中の女の子の表情やしぐさを見ているだけでもその子の気持ちが伝わってくる様です。
林さんの絵と、筒井さんのお話がとってもよく表現されているおススメの絵本です。

知らない町に引っ越してきた、女の子。
その子の家の郵便受けに、届けられる花や手紙。

「とん　ことり」とは、郵便受けに物が落ちたときの音。

そして、それを届けていたのは、、、

五歳の子供に読んでみました。
「とん　ことり」のところにくると
一緒に声を出して読みます。
この響きが気に入ったみたいです。

全体を通して、白い丸い余白を残して描かれたイラストが、どこかから覗いているかのようで
よりいっそう、ドキドキ感を盛り上げてくれます。
届け物も、「きょうはなんのひ？」同様に効果的なツール。
あの郵便受けの形状は、一軒家ではないと思います。
実際には、集合住宅での子供（おんなのこ）同士の手紙のやり取りは、
自分にとって、いい経験ばかりだったとは言えませんでしたが。
この絵本の中に出てくるような、甘酸っぱさにあこがれてしまいますね。

この本はちょうど今の家に引っ越す前に３歳になる娘に買いました。
「とんことり」も引っ越ししたばかりのかなえの話です。
「とんことり」と玄関で音がして…最初はすみれの花束が。ドアをあけても誰もいません。
次の日はたんぽぽ３本。次の日はお手紙。「とてもうれしいです　まっています」
新しく通う幼稚園を見に行ったけど、知らない子ばかり。
「すみれ、たんぽぽ、てがみ…」くりかえし、つぶやくかなえにまた「とんことり」の音。
「まってよう！」玄関に走って出ると、知らない女の子が…。お手紙の主でした。
こうしてお友達ができたかなえ。
娘と読みながら、絵も楽しみました。実は幼稚園の場面でこの手紙の主がいます。
私たちが引っ越ししたとき、「とんことり」ではなかったのですが、お隣に娘と同い年の
女の子がいて、仲良くなりました。今は別の中学校ですが仲良くしています。
この本を見ながら「とんことりみたい」と言っていたのがもう10年前になります。