現実を必死に足掻いて生きる人たちへ
★★★★★
前巻から続いた指輪を巡る戦いは、この巻で完結となります。
前巻も分厚かったですが、この巻も負けずに分厚いこと。おかげでかなり急いで読んだつもりですが、読み終わるまで6日ほどかかりました。
さて、前巻でも登場した<古き巨人>たちをまるで巨大ロボットだと感想で書いた人もいますが、この巻の口絵で描かれている<古き巨人>の外見が、本当に巨大ロボットなんです! そんなのを5体も相手にガユスたちは戦わなくてはならないのですから、苦戦とか過酷とかなんて言葉では表現しきれません。
そうした戦いだけでも刃や爆破、流血だけでなく、様々な現象、能力が駆使され、時には凄惨、残酷な描写や外道な場面までもが描かれてますから、慣れてない方は拒絶反応を起こすかも知れません。
他にもエリダナを舞台に自分の野望を展開させる老投資家、彼に不満、憎しみの矛先を向ける憂国騎士団や多くの民衆、謀略を巡らすモルディーンや各国、それらに直接関わらず傍観する者など、様々な人たちの思惑や欲望、理想や苦悩、行動が入り交じって、まるで巨大で精密なパズルか機械のように物語が組み立てられています。
そんな中で、ガユスたちは小さなピース、部品に過ぎないのですが、本人たちもそれを理解しつつ、それぞれの立場で必死に足掻いて戦う姿は、他のライトノベル作品よりも私たち読者と身近に感じることができます。それを夢がないと拒絶するか、現実でも足掻く原動力にするかは読む人次第ですけど、私は後者を選んで今日も生きていこうと思います。
完全新作一話完結
★★★★☆
完全新作完結となる巻です。前回と同じくらいボリュームがあります。ただ分厚いだけじゃありません。前回以上に人々や古き巨人たちの思惑が絡み合い、話の全貌がやや複雑になっています。ちょっと考えながら読んでいく必要があるでしょう。でもそれが逆に面白くて虜になりました。後、このシリーズのどの巻にもいえることですが、戦闘シーンの途中に技の解説が出てきて、しかも技の原理に科学的な内容が多く、やや理系向きの内容となっていますが、よくわかんなくってもとりあえずなんかすごい技なんだなって流せば普通に読めるでしょう。 前回以上に露骨というか過激な性表現があるので苦手な方はご注意を。触手が出て少女を絡めとり、しかも犯すという表現があります。しかも、その後に起きる表現がまた、かなり過激で・・・。まあ、この人の作品はそういう表現が多いことは特徴というか名物みたいな感じなのでそこは受け入れるしかないでしょう。面白いから許す!
竜に大禍つ式もすさまじいやつらですが、古き巨人もまたすごいやつらです。最後のあたりにとんでもないやつがでてきます。
なんか本当に今までとは違う展開になっているので、この話の後はどうなるのか気になりますね。ひょっとしたら次は前に描かれた話が出てくるのかもしれませんが。とりあえずこれからも期待していきたいです。