やはり傑作
★★★★★
ガガガ版リライト第二巻。
ガガガ版一巻もそうでしたが、旧版より厚いのに却って読み易いように思えます。加筆と言っても挿話を足したとかラストを変えたとかじゃなくて、というか筋は旧版と同じなのですが、文字通り全編に渡って手が入って完成度が上がった結果なんでしょうね。
例えばガユスとジヴーニャの交流がより木目細かく描かれたり、ギギナの台詞や芝居はブレが正されてより描像がくっきりしたり。登場人物間の交流が時々ブツ切りになってたような印象が無くなりました。他にも科学・化学関連の考証が浅かった部分がより丁寧に補われたり、発表済の単行本をこれだけ全体的に、しかも筋立ては変えずに推敲した小説家ってこれまで余り無いんじゃないでしょうか?
本来ならこの作者には改訂作業よりも新作や続編こそ望みたいところですが、この調子なら是非三巻以降も磨き直して読ませて欲しく思います。もしそれが完成したら、され竜はどう見えるようになるんでしょうね?
更にシビアでダウナー系な第2巻です
★★★★★
先月リニューアル第1巻が出版された浅井ラボ先生の小説「されど罪人は竜と踊る」ですが、先日出版されたこちらの第2巻は更にシビアな展開を見せてくれます。
この巻でガユスとギギナは、警察から依頼された邪悪な禍つ式による連続殺人事件と、巨大企業から依頼された反政府組織の人質にされた天才咒式博士と巨額の身代金の交換立ち会いに始まる一連の事件に関わることになります。一見無関係なはずの2つの事件がどう結び付いていくかは実際に本を読んでいただくとしまして、この間のもう一つの見所は先程書いた人質の天才咒式博士レメディウスでしょう。
本編の合間合間に、才能と理想に溢れる天才咒式博士が世界の現実を知り、不正義に怒り、それを正そうとするも裏切られ、挫折し、狂気に魂を売ってまで理想を求めた末に破滅する姿が悲しみと憤りを誘わずにいられませんでした。
どんなに敵が強大でも現実が苛烈でも、理想を求めて諦めずに戦い続けた末に勝利と希望を手に入れるというパターンのハッピーエンドでなければ嫌だという方には、正直言ってこのシリーズはお薦めしません。逆にありきたりな予定調和に飽きて、やるせなさや救いのなさに浸るマゾヒスティックな気分もたまには味わいたいという方には良いと思います。
角川版の2倍ぐらい厚くなっています。
★★★☆☆
イラストは大人っぽくなってますし綺麗になっています角川版はかなり時間制限(急がされて)されて書いたみたいだけどががが版は自分ペースで書きたいように書いたのかな、かなり説明されているみたい。
新装版二巻!
★★★★☆
ガガガ文庫から出なおし二冊目。
角川版からずっとシリーズに付き合ってきた身としてはどうしても比較してしまうんですが、
表紙は断然こっちのがかっこよいですね!!(宮城さんの絵は初期とだいぶ変わってるんで賛否両論あるかもしれませんが……ちなみに初期のほうが瞳が小さめですね)
ひとまず口絵のラルゴンキン事務所集合図を見て、イーギーのファッションセンスが向上してた事にとても安心しました。
ストーリーはほぼ同じ。一巻より加筆改訂は少なめです。
ガガガ一巻より登場した新キャラアーゼルですが、二巻が好感度がちょっと上昇。
一巻では人の不幸をねらい強引にスクープゲットだぜ!の気概あふるるる爆乳童顔キャラ、
という程度の認識しかなかったんですが、二巻ではジャーナリストとしての信念をちらりと
見せてくれます。
「慣れすぎては、いけないんだけどね」の自戒の言葉が深い。
あとナリシアがロングからショートヘアになってます。どっちがいいかは好みが分かれるところ。
ガユスが喋りすぎって印象は相変わらずありますが(角川では地の文のモノローグで説明してるのを会話で代用してるから)、たぶんこっちを先に読めば気になりません。
惜しむらくは、本編の挿絵でヤナン・ガラン&アムプーラ、ラルゴンキン事務所の面々が見たかったなー……と。
個人的にツボだったのは、イーギーが「整った目鼻だち」とか描写されてた事です。
お前いつのまに美形に……いいけどね!