さようなら、ブラウン神父
★★★★☆
ブラウン神父の名推理が収められた短編集の第5弾。
最後の作品集です。
第5弾になっても、
逆説とユーモアに満ちた作風は健在で、
十分に楽しめるものに仕上がっています。
本書には、巻末に
このシリーズの訳者、中村保男氏の
「ブラウン神父の世界」と題する評論が載っており、
これを読むと、このシリーズが
再読に耐えうる高品質な作品集だということがよく分かります。
以下に、本書収録の9編について、簡単なコメントを記します。
「ブラウン神父の醜聞」
神父がスキャンダルに荷担?
風貌と先入観についての逆説。
「手早いやつ」
<手早いやつ>とはウィスキーの俗語。
<手早いやつ>をやったのは誰?
「古書の呪い」
呪いで、5人が忽然と消えた?
秀逸な人間消失トリック。
「緑の人」
フーダニットもの。
真相解明の鍵となった犯人の一言とは。
「<ブルー>氏の追跡」
犯人消失の謎。
人は見かけによらないが鍵。
「共産主義者の犯罪」
マッチ箱に関するイギリス人の異常な習慣。
神父の推理が光る。
「ピンの意味」
神父が夢の中で解明した事件の真相とは。
「とけない問題」
絞殺か?刺殺か?
とけない問題が示す犯人の意外な目的。
「村の吸血鬼」
撲殺と思われていた死体が、毒殺だった?
このことから、思いがけない真相が明らかに。
ブラウン神父最終作
★★★★☆
ブラウン神父シリーズの第5作目の短編集にして最終作。
これまでと比べて語呂合わせなどの言葉遊びが目立つ印象。
チェスタトン独特の雰囲気で事件が成立しているのは相変わらずで、登場人物が全く論理的な行動をしてくれない時には最後の結末が不法に感じられることも。
筆者自身これが最後の作品集になると思っていなかったのでしょうが、最後の大トリを飾る「村の吸血鬼」という作品がそこまでのインパクトを持っていないのが残念です。
かなり落ちる
★★★☆☆
最後の短編集ともなると
アイディアの枯渇かそれとも年齢的なものか
ひと時の切れは見られません
内容も前の作品の二番煎じが多くなっています
それでも、発端は見事なもので
サスペンスフルに読ませます