インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

ブラウン神父の秘密 (創元推理文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
Amazon.co.jpで確認
お披露目、神父の推理法 ★★★★☆
ブラウン神父の名推理が収められた短編集の第4弾です。
本書は、10編の作品から構成されていますが、
第1編の「ブラウン神父の秘密」と
第10編の「フランボウの秘密」は2つで1つの作品となっています。
第1編「ブラウン神父の秘密」で神父の推理法が語られ、
その具体例として、以下の第2編から第9編があり、
事件を語り終えたところで、
第10編「フランボウの秘密」が語られるという
形態となっています。
第4弾となっても、
奇抜な作品が読者を楽しませてくれます。

以下に、各編に対し簡単なコメントを記します。

「ブラウン神父の秘密」
神父独自の推理法とは。初公開。

「大法律家の鏡」
鏡が謎の焦点。神父の指摘する犯人とは。

「顎ひげの二つある男」
なぜ、顎ひげを二つ持っていたのか?
その疑問が真相を導き出す。

「飛び魚の歌」
謎のアラビア風の人物。金魚盗難の真相とは。

「俳優とアリバイ」
神父が挑む、アリバイ崩し。

「ヴォードリーの失踪」
謎を解く鍵はたばこ屋。
意外な動機も盛り込まれています。

「世の中で一番重い罪」
一番重い罪とは。神父、城のお堀に落ちる。

「メルーの赤い月」
ルビーの盗難事件。<山岳導師>とは、何する者ぞ。

「マーン城の喪主」
決闘の意外な真相を神父が推理する。

「フランボウの秘密」
フランボウ、自らを語る。
「法律家」と「詩人」、それぞれの習性 ★★★★★
◆「大法律家の鏡」

  長年、反逆陰謀の告発を行ってきたグィン判事が、自宅の庭で殺された。


  死体の状況と玄関のホールの突き当たりにあった粉みじんの鏡とから、乱闘が
  はじまって手許の狂ったピストルが鏡を粉砕し、犯人に追われた被害者が庭で
  射殺された、という推定が立てられ、現場にいた挙動不審な詩人が、容疑者として
  拘束されるのだが……。


  
  「詩人」特有の思考法を開陳することで、彼の容疑を晴らす神父。
  そして、事件において鏡の果たした役割を説明し、意外な犯人を指摘します。


  ところで、日本語の「かがみ」には、見る者の姿を映し出す「鏡」
  という意味以外に、手本や模範を表す「鑑」の意味もあります。

  このダブルミーニングによって本作は、日本語訳でしか
  味わえない、より深い含蓄を獲得したといえます。
スペインの地から ★★★★☆
ブラウン神父の活躍する第4短編集。全十編の内最初と最後はプロローグとエピローグのようなものなので、実際の事件は八編です。もちろん最初と最後はただの付け足しではなく、それ自体にも味があります。

読んでみて感じたのは、トリックにいささか無理があると思われる作品が多いのではないかということです。また、ブラウン神父の解釈で説明がつく部分はあっても依然として不可思議な謎が残っている場合もありました。
ブラウン神父の作品には筆者の力があってこそ成立している作品がいくつかありますが、それを割り引いて考えてみてもちょっといただけません。お得意の早業も万能ではないのですから。

ただ、作品内で語られる箴言にはなかなか感じ入るものがあり、チェスタトンの特色は良く出ています。
特に「マーン城の喪主」は、語られるキリスト教と人間の慈悲との違いや一連の話が興味深く、印象に残っています。
「マーン城の喪主」の衝撃! ★★★★☆
ブラウン神父シリーズのこの作品集の中では、「俳優とアリバイ」以降の後半の作品群がとてもよかったです。なかでも感動したのが、「マーン城の喪主」! ずしんと心に響く衝撃と感動を受けました。

稲妻の閃光に照らし出される冒頭からラストまで、話にぐいと掴まれたような気持ちで読んでいきました。ラストでは、ぐぁんぐぁんと鉄槌で打たれ、打ちのめされたような感動を覚えました。

「俳優とアリバイ」「ヴォードリーの失踪」も印象に残ります。この二篇を続けて読んだ辺りからかな、それまでのほほんと読んでいたぐうたらな気持ちが、俄然引き締まりました。寝転んで読んでいたところが、むっくり起き上がる気持ちになった
というところです。

おしまいの「フランボウの秘密」も、この短編集を締め括る作品として読みごたえがありました。そして、ブラウン神父のことがちょっと恐くなりました。神の眼差し、神の慈悲のようなものを感じて、その辺にぞくぞくさせられたからです。

チェスタトン健在なり ★★★★☆
『秘密』というタイトルに惹かれました。なにしろほかの短篇集は『童心』『知恵』『不信』『醜聞』――と、あまりミステリらしからぬもの。『秘密』のタイトルにミステリっぽさを感じたのでした。

 幸か不幸かこの作品集にはなぜか暗い雰囲気の作品が多い。ブラウン神父のすっとこどっこいぶりを鹿爪らしい文体で書かれても、いまいちそのユーモアを理解しづらいところがあるのですが、こういう文体はこういう暗い話にはぴったり合います。

 中でも「大法律家の鏡」と「マーン城の喪主」の二編は象徴的・宗教的雰囲気が強くミステリとしても傑作で、最初と最後を引き締めています。ほかには、異様な動機と、単純なだけに見事な逆説とトリックの「ヴォードリーの失踪」、ユーモラスな雰囲気ただよう数少ない作品、H・M卿のモデルとなった人物も登場の「飛び魚の歌」あたりがおすすめです。「顎ひげの二つある男」は、どんな動機にも分類されない動機、という、どこか『奇商クラブ』を思わせる作品。

 全十編中、一話目と十話目は、イントロと終演挨拶のような非ミステリ作品なので正味全八編。打率的にもまだまだ衰えは見られません。