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二色の独楽

価格: ¥2,100
カテゴリ: CD
ブランド: ユニバーサルJ
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陽水の分水嶺となった出色のアルバム ★★★★★
陽水の初期の四枚のアルバムはどれも傑作だと思うが、本作は「氷の世界」で一躍メジャーとなった陽水が、それまでの三作(特に初期二作)の総仕上げと、今後の展開を図った分水嶺の様なアルバムで、印象に残る。

「夕立」のモチーフは、「センチメンタル」中の「東へ西へ」と同様で、ラブ・ソングを如何に独創的な状況下で歌うかと言う点を狙ったもの。「夕立」に戸惑う人々の姿を激しいロック・ビートでシャウトしながら、最後に「君の事もずっとおわづけ」と落とす陽水らしさ。バラードからロック調の曲まで、卓越した歌唱力と深みと透明感のある音質で歌い上げる陽水は本当に素晴らしい。「ゼンマイじかけのカブト虫」も「センチメンタル」中の「夏まつり」を想わせる儚げな曲で、日常中の様々な歪みを繊細な心で捉える陽水らしさが良く出ている。「太陽の町」〜「旅から旅 」、「眠りにさそわれ」、「太陽の町」は本作がトータル・アルバムになっている事の表明と共に、歌に"解放感"を求めた新しい陽水の姿を映し出している。タイトル作「二色の独楽」は、本作ではむしろ異色で、それだけに存在感がある。男女間の愛情の脆さを独楽に喩える詩想と、静謐感を漂わせた簡素なアレンジの中での哀切感溢れるボーカルが玄妙にマッチした佳曲。「ロンドン急行」は、憧れのリバプールへ向かう列車での旅を夢想した、底抜けに楽しい歌。サウンド的に特筆すべき点はないものの、陽水&ビートルズ・ファンにとっては堪らない曲だろう。「Happy Birthday」のサウンドは、「For Life」以降の「一見ラフで素直ではないのだが、妙に惹き付けられる」感覚を先取りしているかの様。

スマッシュ・ヒットした作品の後のプレッシャーを全く感じさせない内容で、陽水の様々な魅力と可能性が味わえる出色のアルバム。
自分の若かりし頃 ★★★★★
 全く個人的な見解で恐縮です。こういう音楽の聴き方もあるんじゃないかと、参考にもしなれば幸甚です。
 娘は今年就職、息子は大学受験。……それとクルマがボロくなったんで、エコカーに買い換えました。新車のナンバーは、自分が大学時代最初に持った自分の車と、同じナンバーに、色もあのクルマと同じシルバーメタ。車の中で聴くCDは、あの時クルマの中でゆっくり聴いたポール・モーリアと、そしてこの井上陽水。……とにかく自分が受験そして大学の時は、どういうことを考えていたかを、今ジックリと省み、今子どもたちの心労に対しどう語ったら励みになるか、私は模索し続けています。
 曲とか演奏のよしあしよりも、過去の音楽の思い出が、自分にとってためになったということです。音楽とは、私にとって、精神的過去を保存できるもの。
バックミュージシャンに惹かれて ★★★★☆
陽水のCDを初めて買った。陽水は僕にとって「割と好きだけれど、ラジオで聴くぐらいでいいや」という感じだから。おお、いきなりオープニングではデヴィッドTのメローなギターが大々的にフューチャー。この時代でデヴィッドTのギターをオープニングに持ってくるセンス、鋭い。これはアレンジャーの星勝氏のセンスなのだろうか。それとも、プロデューサーの多賀英典氏のセンスなのだろうか。大ヒット作の前作を聴いていた当時のフォークファンにこのジャジーでメロウなギターが受けたのだろうか?天邪鬼な陽水のことだから、あえてフォークファンに肩透かしを食らわせるようなこの曲をトップに持ってきたような気もする。「夕立」では一転してファンク。2009年に放映されたNHKの井上陽水特集でスガシカオが井上陽水のファンキーな面を語っていたが、そう言われれば「夕立」はスガシカオの曲といっても違和感ないぐらい。「眠りにさそわれ」はモータウンサウンド。フォーク、ロック、ファンク、モータウンいろんな要素が詰ったアルバムになっている。まだまだ歌謡フォークが主流な35年前の日本で、このようなアルバムが作られていたんですね。勉強不足でした。
心の二面性を感じるアルバム ★★★★★
 陽水の5枚目のアルバムですが、その前に発売した「氷の世界」が史上空前のヒットを記録したものですから、とまどい気味の彼を感じることができます。74年にリリースしていますが、録音はロサンゼルスです。それまでの彼の境遇を考えると、明らかに環境が変わりつつあることを感じたのではないでしょうか。
 アルバム自体は、初心忘れるべからずなのか「傘がない(イントロダクション)」から始まっています。ヒットした「夕立」や「二色の独楽」をはじめ、かまやつひろしがカバーした「ロンドン急行」など、力作がそろっています。しかしそれでも、陽水のこだわりがどこかに感じられ、「二色の独楽」というのは、「心の中の二面性と、回っていないと倒れてしまう自分を象徴したものなのかなあ」なんて思ってしまいます。
一つのくぎり ★★★★★
「氷の世界」で一つのピークを迎えた陽水の歴史の中で,次の何かに向かい始めた萌芽が感じられるアルバムになっていると思う。基本的には「氷の世界」まで続いてきた,どこか屈折した,それでいて赤裸々な私小説的歌詞が中心であるものの,聴く人を迷わす言葉遊びに向かい始めているように思える。一方,アルバムタイトルになっている「二色の独楽」は完全に「氷の世界」までの陽水である。聴くたびに生々しく,痛々しい男女関係を思い描かされてしまう。「ゼンマイじかけのカブト虫」はまさに混迷の社会の中で壊れた人を想起させられる。