満足できる1冊
★★★☆☆
あるパーティで偶然再会したリジーとドワイト。懐かしさだけでは
ない別の感情がリジーに湧き上がる。「彼女はいったいどうなって
しまったのか?」ドワイトの妻だった女性バーネットは、ある日
突然姿を消してしまっていたのだ!ぬぐえない疑惑をスリリングに
描いた表題作「見えない死」を含む6編を収録。
ウールリッチの、独特の表現方法が好きだ。「見えない死」では、
閉ざされた扉の向こうにあるものをめぐっての、リジーとドワイトの
言葉の駆け引きが絶妙だった。果たして扉は開かれるのか?読み手にも
緊迫感が伝わってきた。殺人犯に自分の恋人を人質に取られた刑事を
描いた「二本立て」、盲目の老人が巻き込まれた事件を描いた「義足を
つけた犬」、自分を死んだことにしてしまおうとする男の運命を描いた
「私の死」など、ほかの作品もスリリングで面白い。読後、満足の
できる1冊だった。