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暁の死線 (創元推理文庫 120-2)

価格: ¥609
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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時計は見ている・・・・ ★★★★☆
大都会ニューヨークの深夜、奇妙な出会いをした男と女。
2人が死体を見つけたことから、物語の時計は動き始めます。
かなり無茶な設定、そして犯人捜しのための無茶な行動・・・「そんなにがんばらないで」
と思いつつ、手に汗をにぎりながらどんどん物語の中に引き込まれていってしまいます。
そして自分までもが、あと何時間?と残された時間を計算し始めるのです。

古い時代の話でありながら、古さを全く感じさせません。そして鋭い観察力と無謀なまでの
行動力に満ちた2人の主人公に魅せられてしまいます。

ハラハラドキドキのサスペンスものでありながら、どこかコミカルにさえ感じられるのは、
アイリッシュならではの手腕でしょうか。
時間との戦い ★★★★☆
真犯人を見つけるには、数時間しかない!
イラストの時計が二人の経過時間を示し、どんな方法で真犯人を探すのだろうと
じりじりしてきます。焦りを感じます。

僅かな手がかりから犯人を特定させていくところは圧巻。
トリック云々ではなく、心理描写を描いた アイリッシュ流のミステリを堪能さ
せていただきました。
タイム・リミット物の元祖 ★★★★☆
"ある限られた時間の中である目的を達する必要がある"、いわゆるタイム・リミット物の元祖。本作では都会に出てきた若い男女(偶々同郷)が明け方(=dawn=暁)までに真犯人を探さないと、男が犯人にされてしまうという設定。W.アイリッシュ独特のムード作りと巧みなストーリー展開で読ませる。こうしたタイプの小説を私は勝手に「暁の死線」型ミステリと呼んでいる。本作は「幻の女」、「喪服のランデブー」等と並ぶ作者の代表作。

日本でホラー小説としてブームを起こした「リング」も、実は「暁の死線」型のサスペンス小説なのである。呪いのビデオとか女超能力者等は小道具なのである。良くできたサスペンス小説だが。

閑話休題。本作は文字通り「暁の死線」型ミステリの元祖として、後世のミステリ界に大きな影響を与えた傑作。
はまる確率の高い名作 ★★★★☆
かつて山口百恵・三浦友和主演でドラマ化されたこともあるサスペンスの名作。
タイムリミット・サスペンスを小説で読む場合、主人公たちに共感できなければ「どうせラストはハッピーエンドで丸く収まるんだろう」と白けてくる。逆に、はまれば面白い。
その点、この小説は、これまで多くの人が「はまった」名作として推せる。
タイムリミット・サスペンスの名作 ★★★★★
大好きなウールリッチ(アイリッシュ)のサスペンス作品。
短篇に面白いものが多く、それは孤独な生涯を送ったこの作家の練達の職人芸を示すものだと思っています。
長篇では、人気が高い『幻の女』よりも、私はこのボーイ・ミーツ・ガールものの作品が一等好き! タイムリミット型サスペンスの逸品です。

ミステリ小説をかじり始めた中学生くらいの時に読んで、ワクワク、ハラハラしながら夢中で読んでいった覚えがあります。アイリッシュの作品、もっともっと読んでみたいと、その虜になる決定的作品になったのがこれでした。頁をめくっている間のあの時間は、本当に至福のひとときでした。

時間が刻々と、夜明けのデッドラインへと近づいて行くサスペンス。

章の代わりに描かれていた時計の針が、とても印象に残っています。
そして、夜の大都会を駆けずり回る男女の冒険に、ドキドキしながら声援を送っていました。