『さらばニューヨーク』は彼の死後に発表された作品ですが、犯罪を犯した主人公が警察に追い詰められて感じる恐怖心がひたすら描かれるだけで、それがどんな犯罪なのかも明かされないという異色作です。それ以外の作品はいかにもアイリッシュらしいもので、無実の罪を着せられそうになった主人公の言うことを誰も信じてくれない孤独感や、その中でたった一人だけは自分を信じてくれることの幸せや、タイムリミットが迫り来る際の焦燥感が見事に描かれています。