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小説 立花宗茂 全一冊 (集英社文庫)

価格: ¥1,050
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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宗茂を知る良書 ★★★★★
決して愚鈍ではなかったが政教分離の原則を知り得なかった大友宗麟は,自ら滅亡への道程を歩み続ける.そんな宗麟を守り続けた強者達がいた.大友三家老と言われた戸次艦連(立花道雪)・吉弘艦理・臼杵艦速,そして高橋紹運である.

立花宗茂は,高橋紹運を実父に立花道雪を養父とした生まれながらにして誉れ高き血筋を持つ.しかしながら,時代は血筋だけで生きて行けるような甘さを一切認めていなかった.没落の一途を辿る大友家を屠ろうと,近接する秋月氏・龍造寺氏など次々と強敵が訪れる.そんな中,生涯に負け戦無しと謳われた立花道雪が天命を全うする.大友家に追い打ちをかけるように,時代の寵児の如く九州最強となった島津氏が北進を続ける.台頭著しい龍造寺氏でさえあっさりと滅亡に追い込んだ島津氏の猛攻に,高橋紹運は命がけで岩屋城に籠り壮絶な最後を迎える.ついに大友氏を支えるのは,立花城の宗茂のみとなる・・・.

あくまで結果論であるが,後世から見れば,宗茂は大友家滅亡を防げていない.また関ヶ原の戦いでは,西軍に属している.いわゆる今でいう“負け組”についている.にもかかわらず,豊臣秀吉も徳川家康も立花宗茂という人物を認め,重用している.宗茂の人生は“勝てば官軍”といった単純なものではない.宗茂は負け組に属しながらも天下人たる秀吉や家康に重用されるだけの,壮大なスケールを持った人物であった.

本作品は宗茂の人間的魅力にも触れ,その人生を余すことなく伝えてくれる.さすがは童門冬二氏で,史実に従えば『歴史書』になってしまいそうなこの難局に満ちた宗茂の生涯を,小説として十分に読者を魅了してくれる.書架に置くことに後悔を感じさせ無い一冊である.
立花宗茂 ★★★★★
西軍に汲みし関ヶ原で敗戦さらに改易され浪人にまで成り下がった宗茂ではあるが、最後には旧領柳川藩主に返り咲く多難な人生物語に感動した。大作でありながら決して飽きさせることが無く読後感にしたれる作品だ。歴史小説181作品目の感想。2008/12/20
筋を通すという生き方 ★★★★★
筋を通すという生き方は損することが多いが時には良いこともある。そんなことを考えさせられます。