公益資本主義が貧困を救う
★★★★★
欧米型市場万能主義へのアンチテーゼ
著者はタイトルにある「新しい資本主義」のモデルを実現実行しているベンチャーキャピタルの最前線を行く人物である
「端的にいおう。「幸せ」を数式で表すことができるだろうか 。」
【第一章 金融資本主義の何が間違っていたのか】
から始まり
「私が経営するXVD社の技術者は,途上国で遠隔医療や遠隔教育に役立ち、自分のつくった技術で貧困を撲滅できることを誇りをもっている。」
【第五章 公益資本主義の経営へ】
・・・まで読み進んでもしかしたら忘れかけていた本来の価値観を取り戻すかもしれない
裕福な人が行う寄付も否定しないが採算のとれる援助活動・・・それをビジネスとして成立させるホンモノのベンチャーキャピタル
そこには日本の目指すべき道が見えてくる
それは新興国の熾烈なシェアを勝ち取る競争ではなく
途上国援助の画期的実践、まるで「ブルーオーシャン戦略」そのものである
世界中の先進国が目先の得を追い求めるのならば
日本は目先が損に見えても長期的視線では得と徳を手に入れれば良いのではないだろうか?
こんな価値観もしかしたら日本人だけかもしれないし金融資本主義の現在に残る奇跡なのかもしれない
日本のイノベーションへの期待の書
★★★★★
『国富論』において自らの「新しい資本主義」の
実践を書いた原氏。
その後、本が出ないと思っていたら新書で出ていた。
この本は、前著に比べ、
日本における提言が数多くされている。
内容はほかの方のレビューにも書いてあるので、
割愛するが、私が氏の根底に見たものは、
日本の経済を活性化(再生)させるヒントが、
氏の主張にあるのではないかと感じたことだ。
かつて欧米の人々が、こぞってウォークマンを
買っていた時代が、現在では日本人が
iphoneやipadを買っている。
こうした現在の状況は、
日本の製造業に敗れたアメリカが
早急にイノベーションをITに求めた結果である。
そして、PCもいらなくなる次世代に
どこよりも早くイノベーションできる国だけが
ランディングできる。
その資金を調達するための「公益」という考え方、
日本人のモチベーションを支える社会貢献性、
貧困を救うという志(友愛とは違う)など、
日本独自のイノベーションを可能にする
示唆に富む提言である。
ただし、次代を担う産業が
コミュニケーション産業という点が、
いささかこれを不得意とする日本人に、
画期的な産業を生み出せるのか。
この部分の克服は、次の著書で期待したい(早く)。
日本人の志
★★★★★
経済、文化のグローバル化が進む中で日本人だからこそ世界に貢献しなければならないことがあると思う。2008年のリーマン・ショックをきっかけに経済は不況となった。しかし、株価が企業の成績の全てを決めるという考えは誤りだということを考える良いキッカケになったのではないかと思う。世の中に貢献し、世界のあらゆる人々が平和に幸せになるために、企業は存在するのだと思う。志を高く持ち、次のポストコンピューティングの時代に、日本が世界で一番貢献できるように、ひとりの社会人として頑張りたいと思う。そのようなことを考えさせてくれた本書に出会えたことに感謝です。
先駆者の視野
★★★★★
常に技術や政治の先端で仕事をしている方の持論ですから、一般人には理解しがたく実効性に疑問を持つ点もあるのかもしれません。
しかしながら十分な実績を挙げているのを見れば、その持論には魅力を感じずにいられません。
できるかどうかは素人の私にはわかりませんが、是非実現して欲しいですし応援したくなります。
過去に無数の実績を挙げ、現在もチャレンジを続ける人ですから評価されて然るべきであると思いますが
著者を最も評価するのは、母国日本ではなくアメリカであり、国際社会です。
著者の日本に対する想いと白人社会に対する違和感を考えると、少し寂しい気がします。
チャレンジャーをこき下ろす島国根性は悲しいですね。
これからの未来を担う国こそ”日本”
★★★★☆
「市場万能資本主義」から「公益資本主義」への移行。
著者自身が取り組むビジネスモデルを
紹介しながら、これから未来の舵取りを
担う国こそが、日本だ、と説いている。
”著者の事業の宣伝”とも
解釈されかねない構成にはなっているが、
株価上昇(お金)のためだけに働くのではなく、
事業を通じて社会に役立つ重要性もあわせて、
提起することにより、嫌らしさを薄められている。
著書タイトルは
如何にも経済本のようで堅いイメージだが、
中身はとても読みやすく、わかりやすい内容。
学生から、
中堅者まで、
幅広い年代層に役立つと思われます。