アメリカ一辺倒できた日本を見直すきっかけになりうる本である。
★★★★☆
対照的な経歴を持つ原氏と金児氏の対談集であるが、ともに経済の第一線で活躍してきただけのことはある読み物となっている。
原氏は、学生時代から反骨精神と企業家精神が旺盛で、アメリカでの光ケーブルを使った事業を立ち上げたり、多くの先端的企業の投資に携わったりしていたが、いまやバングラデシュで先端技術を使いながらその利益を地域に還元する取組を実践している。
一方、金児氏は押しも押されぬ超優良企業である信越化学が借入金にも事欠くようなまだまだ零細企業時代に入社しながら、叩き上げて経理・財務の分野では第一人者となった人物である。
それぞれ、体験的な言葉が散りばめられ、感銘する。
「CSRは、稼いだ企業による節税対策やイメージアップ戦略である。」、「マイクロファイナンスも多くは株主利益最大化のためのツールになっている。」、などは原氏からみたアメリカ企業への体験的な批判であるし、
「一円の利益を上げることが、いかに大切か。」、「利益を上げることは『人』のためである。」、「できすぎる人のまねはしない。」「自分はたいしたものだとは思わない。」「表面上上司にはぺこぺこする。」などは、サラリーマンから頂点に上りつめた金児氏らしい人生哲学である。
また、いまや日本の企業にとって喫緊の課題であるIFRS(国際会計基準)や時価会計、減損会計、内部統制、などは、企業性悪説と株主の短期的利益追求のための道具であるとしている点など、この分野に長くいたからこそ言える言葉である。
さらに最終章で原氏は、日本のように中長期的視点で研究開発していくこと、従業員や取引先と長期的な関係作りをしていくこと、従業員の健康まで面倒を見るような、人々が幸せになるような資本主義を構築したいとしている。
ある意味で、アメリカ一辺倒できた日本を見直すきっかけになりうる本である。
公益資本主義の考え方がよくわかる。若いときからの実践も感動ものだ。
★★★★★
書店に行くと原丈人氏の著作が目立つに場所に並んでることに気付いたのはかなり前のことになる。だから気にはなていたが、今回ようやく自分で読んでみた。
主張の核心は、今の資本主義(企業)のあり方を人々を幸せにする資本主義(企業)へ作り変えたいというもの。こう書くと著者が理想主義者のように思われるが、そうではない。光ファーバーというものがまだ一般的になるまえに、電飾を作りディズニーランドに売り込みにいったりもしてそれを事業として成功させている。その後いくつかの会社の経営にたずさわり成功に導いてもいる。実業家としても実績のある人なのだ。
鉄道模型がなにより好きだった父親のこと、自らも中南米の古代文明に興味をもち真剣に考古学者になりたいと思っていたこと。大学時代にはエルサルバドルへの学生により視察(観光)団を組織して成功させたこと。若い頃、いや幼い頃から行動力を発揮していたことがよくわかる。
著者(原氏)が主張することの中身を知りたい人、一人の人間としての可能性を考える人にとっても彼の行動は非常に有益な内容である。金児昭氏が共著者となっているが、この組み合わせの必然性をずっと考えながら読んでいたが最後まで理解できなかった。
新しい資本主義への期待
★★★★☆
原丈人さんと金児昭さんの対談書。
途中、それぞれの生い立ちや仕事に対する姿勢、信念も挟まれて
あっという間に読むことができた。
現在の資本主義=勝ち組と負け組みの世界に
真正面から異を唱えるお二人の考えは素晴らしく
希望が持ちにくい、今の世の中に一筋の光となる思想だと思った。
お二人の目指す素晴らしい経済システムに
ぜひ日本が率先して進めていってほしい、と期待する。
原さんは、世界経済の仕組みを変えるのではないか?
★★★★★
これまでの資本主義経済に対して、
常に異を唱えている原丈人氏。
私は彼の著作をすべて読んでいるが、
「株主至上主義」「市場万能主義」に変わる
「公益資本主義」の考え方は、
何度でも唱えなければ変わらないという、
彼のベンチャー精神そのものがうかがえる書である。
とくに、考古学を目指していた彼が、
なぜベンチャーキャピタル界へ転身し、
バングラディシュやザンビアで事業を展開しているのかという
生い立ちが初めて綴られ、
本物のベンチャー精神とは何かも教えてくれる。
彼は単に現在の資本主義を攻撃しているだけではない。
その理論武装を着々と積み上げ、
実業を通じて実現しようとしている。
いつか彼は欧米の経済理論を打ち破るのではないか、
そんな期待を抱かせてくれるのだ。
対談の金児氏も、その人柄から現れるやさしさが、
本の中でも随所に現れ、読んでいて楽しい。
経済書としてではなく、これからの生き方を問う意味で、
多くの方に読んでほしい本である。
日本人にぜひよんでもらいたい経済の本!
★★★★★
本書はベンチャーキャピタルの投資家として有名な原氏と
信越化学工業で長年経理を勤め上げ会計についてベストセラーを
書き続けている金児氏との新しい資本主義を考える対談本です。
本書は二人の対談とそれぞれの今までの人生の歩みが掲載されています。
お二人の経歴は読んでいて非常に面白いですのがなんといっても本書の
特徴は二人の対談です。
本書を読んで日本人独自による資本主義の形成の一端をかいま見ました。
現在、日本経済が元気がない中、まさに今後の日本企業のあるべき姿が本書に
あると思います。
ぜひ、読んでほしいおすすめの本です。
価格も安くておすすめです。