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二十一世紀の資本主義論 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥1,080
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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ポイントは2つ、「予想の無限の連鎖」「差異の体系」 ★★★★★
本書は、岩井克人の思想のエッセンスが詰まった論文・エッセイ集である。
本書を読んでおけば、他の著作で彼が述べている内容は(高度な学術書以外)大体把握できる。

彼の思想のポイントは2つある。

1 予想の無限の連鎖
これは、貨幣というものがなぜ貨幣になっているかの説明である。ただの紙切れでしかない貨幣が、貨幣としての役割を果たせるのは、人々が「他の人々も、この紙きれを貨幣をして受け取ってくれる」と信じているからである。
だから、その信用が崩れたハイパーインフレでは、貨幣が貨幣でなくなる。
これは貨幣論で書かれていたことだが、本書の方が要点がまとまっている気がした。

2 差異の体系
経済は、労働によって価値が生み出されると広く信じられてきた。これはスミスからマルクスまで共通である。
ところが、実際に価値を生み出していたのは、取引される二つの間の「差異」の存在である。
二者の間に何らかの差があるところに商売は生まれ、それはその差が埋まるまで続く。


ここから、1より貨幣市場の不在(一班の財の市場は存在するが、そこでの取引が貨幣で行われるので、貨幣そのものの市場は存在しない)と、それによる有効需要不足の発生が帰結する。
また、2より、差異を生み出し続けるための「不純な外部」の存在の不可欠性が指摘される。


他にも法人の話など、面白い指摘は多い。
ただ難点は、同じような話の論文が複数収録されているので、全部読んでいると同じ話を何回も聞かされて飽きてしまう点にある。
もう少し取捨選択をして編纂してもらえるとよかった気がする。
センター試験国語で出題! ★★★★☆
 2010年1月実施の大学入試センター試験・国語(評論)の素材文として採用された出典です。
 この中に収められている「資本主義と『人間』」(初出1985年)という、この本に収録された中でも最も古い文章が使われています。
 「売買と買売」「西鶴の大晦日」など軟らかい話題から入っていく文章が多く、高校生レベルでも頑張って読んでいけば、ある程度経済学に関する様々な知識が得られそうな本です。
 
将来の市場経済の危機を回避するには? ★★★★☆
筆者は、将来のドル暴落によるハイパーインフレ(orハイパーインフレによるドル暴落?)を資本主義市場経済の最大の危機と称している。そのために、グローバル中央銀行のような機関の設立が不可欠で、今はなにも準備のない無防備な状態であるとも付け加えている。しかし、人類の真の知恵とは予測される危機に対して何らかの備えをとることにこそあるのであれば、その危機を最新のシミュレーション等で分析&予測して、国際的な機関でその対策に向けて設立に向けた研究や準備を開始することこそ、学者の重要な仕事ではないだろうか?(もちろん、学者だけではなく政治家や民間人も関係するが)これは単に基軸通貨国である米国FRB(連邦準備制度)に解決を委ねておくべき課題ではなく、日本を初めとする非基軸通貨国が積極的働きかけて活動をおこなうべきものと思う。(すでにそれらの動きがシッカリとあるのであれば結構です)
末尾に「身分から契約と信任へ」とのコメントがあるが、まさしくそれこそが一般人がマクロ経済学者に信任したい事柄である。
金融危機は起こるべくして起こっている、ことがわかる本 ★★★★★

経済理論はあちこちかじったりしてたが、ここまで丁寧にわかりやすく説明してもらって、目から鱗が本当に落ちた気がした。

リーマンショックでバブルがはじけて、資本主義を根本から見直さなくてはならないような空気があるが、著者のあまりにもわかりやすい順序だった説明により、市場経済において、金融危機は、危機でも何でもなく、起こるべくして起こっている、ということがわかった。

そして今の本当の危機は、国際基軸通貨への信頼、つまりドル暴落の危機、ということなんだ。

本書は、1997年のアジア通貨危機を振り返る形で論述されているが、今読んでも全く違和感がない。むしろ、これからも金融危機が繰り返し起きるだろうこと、ドル危機がやがて起るであろうことを、的確に見通していることに脱帽である。
信頼の置ける短編論考集 ★★★★★
此の人は論考が非常に順序立つていて明晰なのが特徴であります。

其れで居て、よく見ると状況認識に於いては「○○は△△であることは枚挙に暇が無ひ」とか「○○は△△を産み出す事に為つた」などと自分独りの責任で総括してをり、(逆に例えば他人の論文からの引用を多く重ねるなどして緻密な様子を醸し出さうなどとしてゐない)信用の置けると感じさせる処で在ります。

また、其の総括は殆どの場合根拠が示されてゐないのでありますが、私には、その夫々がなかなか良い処を突いているやうに思へます。かういふ説得力といふのは、地道な積み重ねがあつてこそ産まれるものではなひかと重ひます。

ただし、短編の寄せ集めに「21世紀の資本主義論」は無いと思う。其処まで凄い事は書いてない。