角田さんの本のチョイスがすてき。
★★★★☆
なにかの本にこの中の一文が引用されていたので
旅のお供にチョイスしてみた1冊。
他人の恋愛観にはあまり興味のないわたしですが、
角田さんの語る恋愛観は、恋愛観であって、恋愛観でないと思う。
まったく関係のない話から入って、恋愛観・恋愛論に
移っていく様はとても自然で嫌味がない。
恋愛をしていると、本人にとってはとても真剣で真面目なことでも
他人からみると滑稽であったりすることが多々ある。
でも、そういう滑稽さこそが本当は愛おしいのであって
着飾ったり、演じてみたり、そういうまわりくどいことのほうが
実は滑稽であったりするのかもしれない。
特に良かったのは後半の本と旅についてのエッセイ。
毎回2冊の本とエピソードを絡めて書かれているのだけど
どの本ももちろんおもしろいのだろうが、角田さんのことばによって
それがまたよりいっそうおもしろそうな本に感じてくる。
本を読むことが、また本を読むことに繋がっていくのは
おもしろくてしあわせなことだなあと思う。
えっと、今はねえ…
★★★★★
冒頭の文章が大好きだ。自分がいかに「ふつう」を大事にしているかを語り、みんなと同じであることのすばらしさを、すがすがしく説く。制服ばんざい。「自分らしさ」なんかあえて求めるものではない。求めればおそらく「自分」の泥沼にはまり込む。そういうことを、この人はよくわかっているなあと思った。
と、はじめに自己の価値の基本を確認しておいてから、しかし、ひっくりかえす。恋愛の仕方に「ふつう」はないみたい。そこに突入すればみな、「自分」をさらけだしてしまうのだから。あるいは、日常をはなれて遠くに旅行にいってみる。その土地ごとに異なる「ふつう」がまっている。ここで、「ふつう」は投げ出される。
で、とりあえず聞いてみるわけだ。「今、何してる?」と。このくだりで、思いっきり感動してしまった。「ふつう」が一番なんだけど、相手がどんな「自分」で、どの「ふつう」を生きているのかは、いつも巨大な謎である。だから、よくわからないかもしれない、されど気持ちをかよわせたい相手に、さしあたりの彼氏彼女の状況をたずねてみる。相手の中味はとりあえずおいておく。
「今、何してる?」。この言葉にこめられているのは、現代人の最も洗練された、人付き合いのルールではないだろうか。
本
★★★★☆
恋愛・旅・本に関するエッセイ。
特筆すべきは本に関するもので、一編に2~3冊紹介されている
ものが二十数編綴られています。どの本についても落ち着いた文面で
述べられており、派手に飾り立てない様子なだけに、かえって関心を
惹きつけられ、自分自身購入してみたい本が数冊ありました。
いろいろなジャンルの本について書かれているので「最近読みたい
本がみつからないなあ」という方は、一読されてみてはいかがでしょうか。
豪快!痛快!
★★★★★
いやあ、相変わらず豪快ですな。面白かったし、とても参考になりました。特に「恋の言葉に溺れるな!」の数々の明快な分析にナアルホド、と唸りっぱなしだった。角田さんのエッセイしかり小説しかり本当に、あの話し言葉にはびっくりする。30近く(過ぎ)てもこんな言葉使っちゃっていいわけ?と安心して(!)しまうのは私だけだろうか。純文学という肩書きがついて回るのかもしれないが、「そんなもんぶっ壊して」くれそうな予感。今後参考書並みに読み返しそう。
おもしろエッセイスト
★★★★☆
前半部分は恋愛について、後半部分は著者の読んだ本について書かれたエッセイ集。
著者が持つ独特な価値観とすっとんきょうな発想からくる論法には、なるほど奥が深い、と妙に納得させられてしまうのだが、珍妙な言葉づかいで、煙にまかれているいるようでもあり、正論を説かれているようでもある。
そんな不思議な気持ちを抱きながらも、読みながらつい顔がほころんでしまうのは、それぞれの説話がおもしろいことの証明に他ならない。