が、その内容は決してオリジナリティに富んだものとは言い難い。仮にこの書に新しい試みがあるとすれば、それは学校文法を認知言語学などの専門的な見地から批判していることであろうが、5文型が不十分であるからこれまでの英語教育は駄目であった、という語り口調には賛成しかねる。英語教育の問題はもっと根本的な言語力の欠如に根ざしているように思える。仮に著者が認める7文型あるいは8文型を教えたところで、今の5文型で十分な読解力や作文力を身につけていないものが、突然英語力が上昇するとは思いがたい。
5文型をきっちり学習したものほど、実はその欠点をしっかり把握している。要は、教えられた内容の不足分をいち早く看破し、それを自分で補う応用力があるかどうかではなかろうか。英語教育を批判する場合、いやがおうにも、そのような応用力の育成を怠った教育全般の批判につながらざるを得ず、英語の教え方の問題だけで片付けるのは無茶があり過ぎる。
すことができ、新しい発見ができる本。