Beyond Budgetingの考えに基づき今後のFinanceの役割を考える
★★★★★
予算を廃止したBeyond Budgetingモデルの提唱者でBeyond Budgeting Round Tableの主催者である著者が様々な企業の取り組みを通じてこれからのCFO、Finance機能の役割について論じています。
『脱予算経営』でも基本的なBeyond Budgetingの考え方が述べられていますが、本書ではより具体的に実践した事例の検証が中心であり、比較的フラットな組織をベースに権限委譲や相対的改善契約などを活用した例の説明は参考になりました。
我が国の事業会社でも近時はFinance部門の役割期待が、従来型の事務屋集団という要素をシェアード・サービスやアウトソーシングへと移行して、どんどん経営サイドに近づいた意思決定支援の要素が強まっている傾向があるので、今後の組織設計・運営や従業員のキャリア形成を考える上で非常に有益な一冊となると思います。
管理会計の観点から
★★★☆☆
出版から少し過ぎましたが、重要な本だと思いますのでレビューを書きます。
先ず悪い点から、
1.CFOの役割という観点から様々な提案をしているが、そんなに出来るCFOがいるのだろうか?(幾つかの統計を見る限り、CFOの多くは経理部出身である)
2.CFOにあれこれやらせるということは、現実にはその部下が代行することになり、結果として部下の人は退職する?
良い点は、
前著「脱予算経営」をもう少し具体化したところでしょうか。数年前に原著のレビューで、早く翻訳を!と書きました。「脱予算経営」では、具体的なところが無く、些か不満を感じました。(USアマゾンの書評にもそう書いてあったと記憶しています)本書では、3章と4章で具体的(少し)な説明があります。CFOがあれこれ出来るとは思いませんが、管理の仕組みに絞って改善を行うなら十分に可能だと思いますが、どうでしょう?
以前のレビューにも書きましたが、管理会計はそれぞれ会社が独自に工夫して行うもので、外部に出ることが少ないです。BBRT(Beyond Budgeting Round Table)に参加しない会社は、このような本から類推して自社の仕組みを改善するしか無いでしょう?(あるいは高い金を払ってコンサルタントを雇うか?)
何れにしろ、自社の管理会計システムを改善したい、あるいは手間のかかる予算制度を改革したい方にお勧めの本です。
鮮やかに予算管理の問題点を斬る!でもタイトルが不適切
★★★★☆
他のレビューアーの方と同様、経理・財務部門のあり方について大きな提言の書と思います。
特に、伝統的な大企業の経理・財務の仕事の問題点を、あざやかに指摘していると感じました。
それがあまり売れてないのは、個人的にはタイトルに問題ありではと感じます。
これはCFOだけが読む本ではなく、経理・財務部門の管理者、担当者の全員が考えるべき問題と感じました。
なぜ発売直後の初動の売上が悪いのか疑問。
★★★★☆
価格が高いからなのかなぜか売れていない本だが、内容はかなり高度。原書は米アマゾンでも高評価となっている。
財務関係者(特に、近年シェアードサービスセンターとして経理や財務部門の分社化の作業に関わった人たち)としては内容整理になる。ビジネススクールで習うファイナンス業務の内容の補完にもなる(特に財務計画のローリング)。
トヨタ生産方式(リーン)の概念がそこまで財務業務に効果的かどうかは少し疑問だが、いずれにせよ、もっと読まれていい本であることは間違いない。
財務の仕事をしている人全般にお奨め
★★★★★
管理会計・制度会計・予算管理・内部統制等CFOの役割の切り口はいろいろあると思いますが、本書は財務部門の変革という視点から、「権限委譲」「数値分析」「経営管理」といった切り口で従来のCFOの役割を変えていくことを創造的に提案しています。最近流行の予算不要論の前提に立ち経営資源の配分のあり方を説いた章などは、私たちが普段当たり前としている予算策定−予算管理プロセスを根本から見直す必要性を感じさせ、知的刺激に満ちていました。
CFOという肩書きを持つ人はもとより、会社の財務部門にいる人ならきっと得るものがある一冊だと思います。