CFOはCEO(最高経営責任者)と並び企業経営において重要な役割を果たす立場にあるが、米国においてすら企業価値創造や経営戦略の話はCEOの立場で語られることが多いという。しかし、エンロン破綻に始まる米国企業の一連の会計疑惑事件を契機にCFOの重要性が認知され、日本においてもその役割がクローズアップされている。
本書では、そのようなCFOについて、大きく3部にわけて語られている。第1部では、CFOの起源に始まり、キャッシュフロー重視の米国資本主義の変貌、企業評価尺度の進化の中でCFOの重要性が高まっていることが解説されている。第2部では、「スーパーCFO列伝」と題して、デュポン、GM、GE、マリオット、コカコーラから日産自動車まで、米国企業を主として例にとり、実際にCFOが企業に果たす役割、重要性、その業務の広がりについて説明がなされている。最後の第3部では、「日本企業再生への教訓」と題して、日本のこれまでの資本主義の問題点と真の経営への転換に向けた条件の提示がなされている。
CFOについて豊富な実例をあげて解説された本書は、将来CFOやその上位のCEOを目指しているビジネスパーソンや学生にとっても有用であり、また、企業価値の創造にCFOがいかにかかわっているかを知ることができるという点で、一般のビジネスパーソンにもすすめたい書である。(木村昭二)