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古代蝦夷とアイヌ―金田一京助の世界〈2〉 (平凡社ライブラリー)

価格: ¥1,365
カテゴリ: 単行本
ブランド: 平凡社
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今日的な目からは注意が必要 ★★★★★
平凡社からは「金田一京介の世界」シリーズ二冊が刊行されており、これはそのうちの一冊。
「ユーカラの人々」が随筆的な雰囲気の強いのに対し、こちらはやや学術的な内容となりますが、
一般向けの啓蒙書としても読める内容です。

今日的な知見からすれば最早古くなった内容があるのは当然で、
特に「蝦夷=アイヌ論」「アイヌ白人説」については注意が必要です。
金田一の蝦夷(エミシ)論は人種的観点に立っており、今日では当然論考されるべき民族論的視点に欠けています。
アイヌ白人説に関しては、遠まわしながらアイヌは決して劣等民族でないということを強調する武器として使われているように見えます。
ここには昭和初期の優生学的概念も感じられ、読者は注意して読まなければならないでしょう。
また、アイヌ民族の生活を評する言葉にも、現代の常識からすれば不適当と思われる表現が多々あります。

とはいえ、本書に含まれるアイヌ語地名解などは、現代においても輝きを失っていません。
音から単語分解してアイヌ語地名の意味を考える方法論は今日でも基本的な方法です。
また「ナイ」や「ベツ」と言ったアイヌ語系地名の分布を調べ、
本州におけるアイヌ語族の足跡を辿る金田一の方法論は、本邦におけるアイヌ語地名考の先駆といって良いでしょう。
金田一の地名解は音割りによる仮定である場合が多いですが、
その成果は彼の弟子である山田秀三のフィールドワークを伴ったアイヌ語研究に大きなヒントを与え、
素晴らしい成果につながってゆくのです。

金田一の研究には今日様々批判がありますが、もし彼がいなければ生きたアイヌ語が保存されたのか、どうか。
日本における本格的な北方文化研究に、彼のなした役割がどれ程多大であったかと、改めて思う次第です。
金田一京助博士の推理 ★★★★☆
 公演や論文の本なのですが、美しく平易な言葉でつづられていて、読みやすい本です。
 難解な単語はあまりでてきませんでした。
 「欧州蝦夷種族考」では、
「ハイナイという川」
の名を聞いて
「着物の繊維になる原始麻が生えているんじゃないですか」
といって
「あなたはどうして居ながらにその草がはえていることがわかったんですか」
と驚かれました。
 アイヌ語でハイナイは原始麻の生えている川なのでそれがわかったのですと説明しました。

というエピソードが紹介されています。

また、
「義経入夷伝説考」では、
義経北行伝説が出来上がっていく過程をいろいろな当時の書物をあげて説明してあり、興味深い内容になっています。
 アイヌ語でペンケとは「上」の意味で、
上の川を「ペンケナイ」というかたちで使い沼にも淵にも使う。
これを和人が弁慶と聞いたものだろう。
といった地名の解説もされています。

 ユーカラの描写なども面白く、65年も前の文章も掲載されていますが古さはまったく感じられず、とても楽しませてもらいました。

金田一京助の「北奥地名考」 ★★★★☆
 地名研究の先駆者の一人とされる金田一京助。その金田一が「北奥地名考」を発表したのは昭和7年。これにより,東北地方にもアイヌ語系の地名が多いことがはじめて学問的に解明されたと言われています。本書ではこの「北奥地名考」が再録され,より手軽に金田一の論究に接することができるようになりました。