サスペンス・ハードボイルドの傑作
★★★★★
テロリストのパラソル以来の筆者のファンですが、筆者の遺作となった本作品も期待を裏切らないものでした。
やくざの組長の息子にして、頭脳明晰・状況により実力行使もためらわないが、酒を飲むとすぐに記憶を無くすという主人公、大会社の創業社長にして、大型バイクに乗り、とてつもない胆力を持つ人物、才色兼備にして離婚寸前別居中の主人公のもと部下である女性、等々魅力ある登場人物が、主人公の親友の突然の不審死の謎に迫っていきます。
テーマ自体は極めて重いもので、緊張感が持続しているのですが、その中に思わずニヤリとさせられるユーモアが随所にちりばめられ、筆者ならではのハードボイルドの世界観が感じられます。
本当に惜しい作家をなくしたものだとつくづく寂しく思います。