ビゴーやワーグマン
★★★☆☆
著者は日本漫画資料館の館長。専門はビゴーやワーグマン。江戸末期から明治期にかけて、外国人が横浜などの居留地で出した政治風刺漫画を研究している。関連の著作も多い。
本書は、江戸から第二次大戦後までの、日本の漫画の歴史を通観したもの。現代的な「漫画」の歴史を求めている人には、ちょっと物足りない内容かも知れない。
しかも、中心的に書かれているのはビゴーやワーグマンの箇所。ここは資料も豊富で、考察も行き届いており、面白かった。イギリスの『パンチ』との比較、中江兆民が「漫画」に関わった可能性の検討など、興味深い。ただ、考察の仕方に引っかかる点も。
その他の部分はざっと歴史をまとめただけであり、不満が残る。
巻末の人物略歴、日本漫画年表は有用。
「ふくろうの本」からも同題の著作を出しているが、内容は異なる。