国際関係論について
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「教科書」に値するものを我が国初の試みとして作ろうとしたものでした。
発売当時、該当する学問を切り開きつつあった、衛藤 瀋吉、公文 俊平、渡辺 昭夫、平野 健一郎の四氏が項目を分担しています。
わかりやすい簡素な概念で、「宇宙船地球号」や「南北問題」といった焦点化されるべき課題が網羅されています。
四半世紀をすぎてなお、当時の課題設定が継続して生きていたり、未解決であったりする項目がずらりとならんでいます。
たとえば、いま、はやく景気が回復すればいいなあ、と考えるとき、わたしたちは、どの範囲までの社会を念頭におくことになるか。
自分たちの住地域の周辺か、国か、アジアか、世界か。
あいかわらず、視野の外にとばされる国々がありそうですね。
教科書の教科書
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理論的に高度だが,入門者にも使える教科書の教科書。
「国際関係論とは何か?」という問いに各分野のパイオニアが答えた意欲的な教科書でもあり,国際法や文化を組み込むなど国際政治だけにとどまらない,学際的な国際関係論としての位置づけで書かれた一味違う教科書。また,歴史を学ぶことの重要性という問題意識に沿い,歴史への言及も細かい。
論理的にも明快であり,国際関係論の関心対象を明らかにし,ミクロ・マクロレベルでの分析,応用と,読みこなすことでしっかりとした国際関係論的なものの見方をつけることができる。
瑣末な知識の羅列に終わりがちな教科書とは一線を画し,本来勉強とはこのようなものであるということがよくわかる。