この巻にも、この先の巻にも、度々登場する、短編。これは、藤田先生の新技ではないでしょうか?長編→長編だと、どうして長期離脱してしまうキャラクターも出やすいし、お話の本筋も、霞むことがあります。正直、今みたいに、たまに短編を挟む方が、読みやすいと思いました。

シンデレラ編は最高に良い終わり方をしますね。
藤田和日郎はやはり天才のようだ・・・。

物語の世界から抜け出してきた女王様風のシンデレラの暴走が止まりません。

カボチャの馬車でスポーツカーとカーチェイス、そして新幹線まで軽く追い抜いてしまいます。

一方シンデレラの身代わりとなって物語の中に入って行った演劇部さんはシンデレラの話を

知らないため「舞踏会」を「武道会」と思い込み、過激モードで「舞踏会」に突入します。

もう物語の世界も読み手の世界もムチャクチャになってしまいます。

藤田和日郎さんのギャグファンタジーのセンスの光る第３巻です。

ほとんどの話が「前後編」か「一話完結」なので、読み応えをあまり感じませんでした。
シンデレラが長い話だったので、その後を期待しましたが、やはり短編ばかり。
狂った物語を“月光条例”する話なので仕方ありませんが、短編集みたいでなりません。

今では少なくなってしまった物語を創っていける実力のある漫画家さんなんですから、昔のキャラクターをちょっと出したりするなんて小手先の技じゃなくて、熱いストーリーでの直球勝負をして欲しいです・・・