やはり絵の上手さは大いなる強みですよね。
★★★★☆
青年誌で純愛系漫画を描いていた作者がメジャー誌「アフタヌーン」に進出しての新境地。
地上の人々から「天国」と言われる「雲の都」。
そこで新たに「女の子」が生を受ける。
だが・・・生まれてきた子供には天上に生きる人々の背中にあるはずの「羽」がない。
持っているはずの「力」を持っていない。
彼女は「神の子」。
彼女は「お姫様」。
彼女は「穢れ無き魂が風花に乗って舞い遊ぶ」。
11歳の誕生日を迎え、幼き少女は「大人の階段」へと一歩を踏み出す。
祝福の鐘は鳴り響き、聖者の行進は歓喜の調べを連ねる。
プロローグは終わり、「窓辺の少女は自らの乳房の膨らみを意識する」。
これからどのような話が紡がれていくのかを期待したい。
序章
★★★★★
詳しい世界観の説明は他のレビュー者におまかせするとして。
これはたぶん、壮大な物語のほんの序章です。
「愛人 -AI・REN-」を読み終えたとき、この作者は人生における作家パワーを
全て出し切ってしまって、もう二度とこんな大感動の大作は描けないのではないか?
と思っていました。
この巻を読んで、それは杞憂だったのかもしれないと考える次第です。
まだまだ事は起こっていません。今後に要注目です。
しかし、世界観の設定の描写だけで一冊費やすとは(^^;
だからこそ「売れればいい」路線で「伏線と謎をてんこ盛り」、「派手な画面描写」、
「百合と萌えを入れときゃいい」という作品とは一線を画すると思います。
愛の物語
★★★★★
今まで、誰もが書いたことが無い、全く、新しい作品。
作者は、理想郷(まるで天国のような楽園)を描く。
そこは、家族愛、友情、人類愛にあふれた世界である。
主人公である「ミミア姫」(11歳の少女)は、王家に生まれ、健やかに育った、愛らしい少女である。
しかし、「ミミア姫」は、その体が、禍々しい姿を持って生まれてしまった。
そのため、その世界の住人に、恐れ、不信の念を抱かせてしまうということ。
また、将来に大事な使命があるだろう、ということが示される。
コミックとしてのストーリーの作り方は、全くもって、驚くべき手法である。
作品では、活劇、冒険、性描写、暴力は一切無い。萌え、さえも無い(と言っておく)。
さらには、作品は「ミミア姫」が語る1人称の物語、という形を取り、出てくるエピソードは、現在11歳の「ミミア姫」の体験の範囲に限られる。
そのため、読んでいるときの没入感は深い。
ストーリーは、独特の迫力を持って迫ってくる。
読者の想像力を刺激する。
今度の、主人公の将来がとても気がかりになる、そういう作品である。
(一般受けはしないかも知れない)。
しかし、私は、良作として、強く勧めたいと思う。
絵本のような世界感
★★★☆☆
コミックですが絵本というかメルヘンティックな作風です。
絵も可愛く世界観も悪くありません。
ですが……だから何? という感覚が付きまといました。
状況を淡々と描きあまりキャラクターの感情が動かずそれはそれでいいのでしょうが何が言いたいのかさっぱり。
主人公が「皆と違う」といっても周りがあたたかく包み込んでくれるので違和感ゼロ。
一見あたたかな作風に癒されるかもしれませんが一つのおはなしとして見ると疑問と欺瞞を感じます。
ストーリーを読むのではなく、世界観を感じる漫画。
★★★★☆
とても温かい物語です。
派手なアクションシーンや、どんでん返しがあるわけでもなく、
かわいい女の子がたくさん出てきてドタバタするとかと言う話でもありません。
ミミアという名の少女が日常生活で感じたことを、幻想的な世界をバックに緩やかに語っていきます。
「愛しのかな」「愛人」同様、完璧ではないヒロインが登場します。
ですが、ヒロインを支える少年(男性)は登場しません。
よちよち歩きの子供が、一生懸命立とうとしているような物語。
読み進めると、「生きるとはなんぞや」と考えさせられます。
それは、ヒロインが完璧ではないから、いろいろ考えてしまうのでしょうか?
ストーリーを読むと言うより、「世界観を感じる」漫画だと思います。
今までの作品に比べるとやや難解だと思いますが、田中ユタカ作品が好きな人には、お薦めの作品です。
でももうちょっと、ストーリーに抑揚があってもいいかな、と感じるので星は4つです。