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オペラ座の怪人 (角川文庫)

価格: ¥780
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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本当のエリックにふれて、愛してほしい。 ★★★★☆
ミステリーとしても、ラブロマンスとしても、欠点はあるものの、読みごたえのある作品。

ホラーとしては、「怪奇ロマン」というジャンルらしいが、現代の我々の目には「B級」と映ってしまうかも。
また、解決されないトリックが存在するので、推理小説と期待して読まないように。

ルルーは、身分違いの恋に身を落としてしまったラウル子爵を、叶わぬ恋に命をかけてしまったエリックと重ねて描写している(愛する苦しみについて言及したラウルが「エリックのことでもあるし、僕のことでもある」と答えるくだり)。
読者がエリックの感情を読み解けるようにしているのだろう。

また、ペルシャ人がエリックについて語る様子を、ラウルに「僕がクリスティーヌに対していだく憐れみと同じものを感じる」と語らせ、ペルシャ人とエリックの深い交流にも言及しようとしている。
「エリックを憎んでいないからこそ、彼の行いに苦しめられる」と語るペルシャ人の言葉は深い。

しかしそういった人物描写が、一読しただけでは伝わりにくいようだ。
ルルーはエリックを「世界の帝国がすっぽりと入るくらい広い心を持っていた」と描写するが、読者のレビューを読んでいると、それが伝わっていない読者も多い。

思うに、主人公ふたり(エリックとクリスティーヌ)の謎を、青年ラウルが追う、という、推理小説に定番の構成で書きながら、ルルーは、エリックとクリスティーヌの感情の流れを、個別のプロットとして書き出していないのだろう。
そのため、読者は主人公ふたりの心理的な動きに感情移入しずらくなっている。
「謎の人物」であるエリックだけでなく、「普通の女性」であるはずのクリスティーヌまで書き込めていないのは、やはりまずい(これはロイド・ウェバー版ミュージカルにも言えることだが)。

翻訳については、三輪さんが訳された版のほうが、原作の意図が伝わりやすいかもしれない。
ただ、読みやすさでは、角川版にやや軍配があがる。特に会話文が自然だ。

クリスティーヌがエリックにいだく感情について、角川版では「嫌悪感」と訳され、もう一方では「恐怖心」と書かれている。
重要な部分に違いがあるので、読み比べてみることもオススメ。

ロイド・ウェバー版ミュージカル、そこから派生したJ・バトラー主演の映画との対比が、よく語られているが、映画ではすべてを美化した分、登場人物の深みが薄れてしまった感がある。
原作のクリスティーヌは、ファントムの仮面を燃やしてしまうほどの強さを持つ女性。強さを持っているがゆえに、最後は彼にキスをあげられるのだろう。
ミュージカルでは純真であっても、か弱い少女のようで、もったいない。
原作のラウルは頼りなくて、好みは別れるだろうが、私はかわいらしくて好感を持てた。
そしてファントムだが、原作小説では姿も行動も恐ろしい分、絶望も孤独も、それゆえの激しすぎる気性も、そして彼の持つ才能のすばらしさも強く感じることができる。

映画やミュージカルからオペラ座を知った方にもぜひ、ガストン・ルルーの小説を読んで、エリックを愛していただきたい!
これが原点、と認識すべき本 ★★★★☆
映画はハリウッドで、ミュージカルはロンドン・東京・ニューヨークその他世界各国で、全くグローバルにそして実に様々な解釈によって創り上げられてきたこの作品。
何がこれほどまでに人々を魅了するのだろう。
創作されればされるほど妖しい美しさを増してゆくこの作品。映画によってその華やかさは頂点を極めた感がある。
そして、この本。
ガストン・ルルーの書いたこの原本を読むと、華やかさより美しさより、まがまがしい気味の悪さが全編に流れ出てきて止めようがない。
映画で目にしたジェラルド・バトラーの甘いマスクや色気のあるまなざしは忘れた方がいい。
ブロードウェーを魅了したマイケル・クロフォードやヒュー・パネロの艶やかなバリトンも思い出さないほうがいい。
エリックという名で登場する「怪人」は、年取っていて肉体が死肉でできていて、骸骨のような顔には鼻もなく、悪賢く凶暴で徹底的に悪人として描かれる。映画やミュージカルよりずっとストーリーの周辺が複雑で全体の展開がまわりくどく、登場人物も皆アクが強い。
ロマンティックなものはあまり期待できないし、映像から得たイメージからもかなりかけ離れた印象が残るが、なにしろこれが原本なのだと認識するしかない。
ギャップを楽しむ事ができれば、それはそれでおもしろい。私は楽しんで読む事ができた。
映画やミュージカルの先入観は捨ててください! ★★★★★
「怪人」は映画等であまりに安売りされているが、この原作を読んでその内容の深さに唖然とした。19世紀から20世紀へ。古い伝統と新しい時代の混交、そしてフランスの政治的・社会的不安を背景に、この物語は展開される。パリのオペラ座はきらびやかな世界でもあるが、かつてパリコミューンの際に、この地下で処刑が行われたという暗い過去も持つ。こうした歴史的な記述も豊富で、歴史的・文化史的資料としても興味深い作品だと思う。
 映画では、勇敢な青年ラウルがか弱いオペラ歌手クリスティーヌを怪人から救う物語として描かれているが、原作では、ラウルはひ弱な青二才で、クリスティーヌは男を翻弄するやり手の女であり、そのへんのギャップも面白い。
これこそ最高のオペラ!! ★★★★★
姉に薦められ、この本を読みました。
この本を読んだとき丁度、私は中学生だったのですが幼いながらにこの作品に恐怖と同時に、興奮を感じたのを今でも覚えています。

この作品は複数の人数の感情が交差しているのが、よくわかります。
ラウルは幼馴染のクリスティーヌに恋をしていて、
クリスティーヌもまたそんなラウルに恋心を抱いている。
怪人はクリスティーヌの才能を見抜き、彼女を愛していて。
そんな三人以外の人達の感情もうまい具合に、書かれているのでおもしろかったです。
怪人がクリスティーヌに恋心を抱いているのにはちゃんと理由があるんですよ。
その理由と、恋したときの事を知ったときにより一層この本に暗さが加わった感じがしました。
それまで生涯孤独で育った男が、一人の女性に狂的な愛を知った究極のラブストーリー。
是非、この本は手にとって読んで、そして泣いてください。
それだけの価値がこの本にはあります。
この本の内容から十三年後を書いた『マンハッタンの怪人』も合わせて読むと更に面白いです。
映画とは別物として ★★★☆☆
映画やミュージカルを見てから読む場合、そちらに思い入れが大きすぎるとあまりいい感想は得られないかもしれませんね。
ちゃんとした小説として受け入れれば、愛に飢える怪人の悲しみや、孤独が作り上げる人間の狂気など、深い読み方もできるかと思われます。