初級編に比べてHOW TO的内容は少なくなり、寧ろ「気」を練り発していくためには身体と一体となったこころを鍛えていくことの必要性が繰り返し説かれています。これは、単純な「強さ」を求めて宇城師のもとに集まる格闘家やトップアスリートたちが、やがて小手先の身体技法ではなく人としての「つよさ」「ふかさ」を追い求めるようになっていくのと合致しているように思います。ＤＶＤ版では、極真空手の元世界チャンピオンの数見肇氏や水泳の背泳ぎで世界選手権を制した入江陵介選手が真剣に宇城師から学ぶ姿が胸を打ちます。

私は中高の保健体育の教員としてたくさんの生徒と「強さ」を追究してきましたが、結局人間としての成長がなければそれは高校を卒業すれば（あるいは現役を引退すれば）それまでで、けして強いだけで人生は豊かにならないことも身に沁みてきました。宇城師がいま、語ろうとしているのはまさに人間として、日本人としてほんとうの「つよさ」を身につけ誇り高く生きるために、生き方を問い直そう、ということなのだと思います。

もし、具体的なわかりやすさを求めるなら、宇城師のもとでながく修行をつづけたスポーツライターの小林信也氏が「誰でもたちまち130キロが打てる武術打法」「宇城賢治師に学ぶ心技体の鍛え方」「古伝空手の発想」の3部作にまとめています。宇城師の監修を受けていますのでいい加減なことは書いてありませんし、プロのライターだけにわかりやすさはピカイチです。宇城師の世界への入門編としてはお薦めです。

「気」の開発メソッド−中級編は、初級編で言いたかったことを更に詳しく書いた「気のガイドブック的内容と体験者の感想」によって構成されています。初級編には、気を流し、腹を作る体操が、付録として10ページありますが、中級編は、呼吸法が、2ページ載っているだけで具体的な気の開発のためのハウツーは、この2ページだけです。しかし、空手だけでなく気がいろいろなことに応用できることや宇城氏の気に対する考え方が深くすばらしいと感じました。私は、初級と中級を合わせて購入して良かったと思っています。星が４つなのは、具体的な開発法が、少ないからです。自習できる内容が、もう少しほしかったと思います。内容自体は、大変すばらしく、繰り返し読みたい本です。

正直に言えば、本書はまた難解なものになった。初級編がすぐに試せる簡易なものであったが、今回はまた心や気の記述が増えている。おそらく私を含めて理解できない人がほとんどではないか。

だが、心や気は存在しないのであろうか？心は他に何も影響しないのであろうか？常識だと思われていることが覆される時が来たように感じられる。

国内外を問わず支持されている宇城師範。その人柄と技術に触れてみたくなる一冊であることは間違いない。出版社のＨＰから講習会など参加できるようなので、興味を持ったならば見てみるといいだろう

以前出た初級編では形から入る強さが中心で、不思議ではありながらも非常にわかりやすかったと思います。今度の中級編では心に重心を置いてあり、中級編だけをとるとわかりづらいかもしれません。とはいえ、初級編あっての中級編ですから、先に初級編を読んでおけば素直に心から来る強さを信じられると思います。

初級編を読んだ人にはぜひお勧めです。