豊かな生活とは?
★★★☆☆
1990年に鎌倉書房から出た単行本の文庫化。
1980年代末、バブルの真っ只中に書かれた本。本当に豊かな生活とは何か、論じられている。
著者の構図は明確で、人間の豊かさは、@物質的・精神的貧さ→A物質的豊かさ・精神的貧しさ→B物質的質素さ・精神的豊かさ、というように進化するものと考えられている。バブル期の日本はまさにAからBに移行する段階にあり、その指南書として書かれたのが本書なのである。
食べ物、ストレス、衣服、住環境など、身の回りの様々な事例を取り上げ、精神的に満たされるにはどうしたら良いか、方策を示してくれる。実際、著者自身がBの段階へ至っているだけに説得力がある。
ただ、2006年という現在に読んでどれだけの意味があるか、それは考えなくてはいけないだろう。