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擬態 (文春文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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ハードボイルドとは何か。 ★★★★☆
北方先生が折において記述されていますが、現代日本を舞台にした
ハードボイルド小説を表現する事の難しさを
この小説にて、ひとつの答えとして表しているような気がします。
一旦読み始めると最後まで小説のパワーでもっていかれます。
後半部分だけが何とも残念 ★★★☆☆
 内部設備の請負会社に勤務する立原章司は40歳。4年前、離婚と共に身体の中で時計の針が止まった感覚が起き、それから立原はボクシング・ジムに通い出した。仕事は機械的にこなしていったものの、会社のリストラ対象となり、次第に内部から毀れていき、一介の会社員が会社と巨大な組織と闘うことに。

 読み始めた瞬間から、かつての北方ワールドを彷彿とさせるハードボイルドタッチの物語に興奮しながら読み進みました。一介の会社員が、身体の中に眠っていた自分の本来の姿を、ボクシングや会社の抗争と共に起こしていき、上司や社長にも対等に渡り合い、自らの鍛えた体を武器に、暴力団組織にも立ち向かっていく。ここまでの流れの暴力シーンも迫力抜群で、ぐいぐいと展開に引き込まれていくのだが、後半からその展開がオーバーになりすぎてしまい、ラストへの過程は不満の残るものでもありました。前半の展開が良かっただけに、後半は違う展開にしてほしかったし、大きく横道に反れてしまったように感じたのは大きなマイナス。北方謙三らしさは随所に見られていただけに、後半部分だけが残念です。