かなりヴォリュームのある小説ですが、読み出すと止まりません。
主人公が自ら社会常識的なものからはみ出そうとしていく様は、初期の名作「檻」を思い起こさせますが、今回は主人公が弁護士という設定がために、ある意味でよりリアルな感覚で迫ってくるものがあり、読者の方がそれに魅入られてしまうかのようです。
救いのない結末ですが、不思議と読後感も不快さはありません。事件設定も一つ一つ面白いですし、別れた奥さんや娘、事件の関係者たちもそれぞれ味があります。