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ユーゴ紛争―多民族・モザイク国家の悲劇 (講談社現代新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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20年近く経てもなお新鮮さを保つ、戦場からの報告 ★★★★☆
本書は二部、すなわち旧ユーゴへの在住経験もあるジャーナリストによるルポタージュ(第一部)と
1993年までの紛争の背景と過程の分析(第二部)によって構成されている。

第一部では、村落を襲撃された難民や襲撃した兵士、警官志願した民間人に加えて
クライナ・セルビア人共和国大統領やコソボ共和国大統領など指導者層へも精力的に取材している。
当時の情報量を反映しているのか、セルビア人による残虐行為が紙幅の多くを占めているが、
セルビアはクロアチアなどと異なりマスコミの掌握に失敗したという事実も指摘しており、
「セルビア悪玉論」が払拭された今日から見ても、(公平かは別として)客観的なものと言える。
また当時は紛争の当事者となっていなかったコソボを「時限爆弾」として取材していることも評価出来る。

第二部は、93年という紛争が解決をみていない中で、
各国のプロパガンダに影響されずに客観性を保っており、読みやすかった。
類書でも指摘されている問題点を概ねカバーしているものの、残念ながら、
その後も継続した紛争の全貌を知らせる役目は類書に譲らざるを得ないだろう。
ユーゴ紛争の原因が分かる ~ その後の状況はアップデートが必要 ★★★☆☆
ユーゴ紛争のさなか(1993.10)に刊行された書物であるため臨場感溢れる記述となっている。欧州の人にとっては常識ともいえるこの紛争の原因を理解するためにはもってこいの書物。
ただし、セルビア・モンテネグロのミロシェビッチ大統領の退陣などその後の状況については、当然のことながら記されていないので、他の情報源(筆者のHPもあります)などで情報を大幅に補足する必要があります。

本書とは関係ないですが、セルビア人側からのレポートも読んでみたいものです。私が本書から受けた印象では、『(一部の)セルビア人が悪い』と理解できました。しかし、日本もかつては同じような評価をされていたわけで・・・反論側もしくは「(一部)」ではない、セルビアの人の見解も知りたいわけです。
かつて存在した国 ★★★★☆
かつてユーゴスラビアという国が存在し、消滅した。
本書はユーゴスラビア消滅の過程、いまだ新ユーゴ(セルビア)とクロアチアが紛争を続けている時期に執筆された。

ミロシェビッチは大統領の座を追われ、現在は虜囚の身、トゥジマンも鬼籍に入り、その他の主要なプレーヤーの大半も既に退場した現在、記述は少々古さを感じさせる部分もある。

しかし、クロアチアの情報戦略の成功により、セルビア=悪、クロアチア=善と見られがちであった執筆当時の状況を考えると、クロアチアにセルビア以上に古典的かつ過激な民族主義が存在することなど、一種「どっちもどっち」的な側面があることを指摘していることは非常に重要なことである。

当時の日本ではまだほとんど取り上げられることもなかったコソ!ボ・マケドニアに居住するアルバニア人という火種について多くのページを割いていることも著者の専門性・先見性を証している。

ユーゴスラビア消滅にいたる背景とそのの初期の過程に関する同時代的記述は非常に有益であると同時に、ユーゴスラビアとその消滅に関する本質を穿った記述は十分に現在にも通用するものである。

ユーゴ紛争のあらましを知るのに非常に役立った! ★★★★★
ユーゴスラビアの内戦、分裂は日本人からすれば分かりずらい。とにかく、どのように分裂して、何処と何処が戦争をしていて、どうしてこうなっていったのかを、ユーゴ紛争のあらましを知るのに非常に役立った。ユーゴは5つの国に分かれた。スロベニア、クロアチア、マケドニア、新ユーゴ、ボスニア・ヘルツェゴビナ。人種というより宗教によって民族が割れ、国が割れた。人間の業を見る思いがする作品。
ユーゴのこれまで、ユーゴのこれから ★★★★★
現在、ハーグの国際戦犯法廷で起訴されている前ミロシェビッチユーゴ大統領。彼はユーゴ、及び周辺国にどのようなことをもたらしたか・・・。
チトー政権時代、ユーゴは他民族国家としては稀なほど平穏な国として一目おかれていた。

ミロシェビッチが大統領に就いてからはユーゴはどのように変化したか。この本では民族、宗教、周辺国の人々の考えを客観的に書かれている。民族や宗教についてもわかりやすく解説してあり、たいへん読みやすいのでユーゴについてTVでなんとなく見ているけど問題の本質がよくわからない人にはお勧めの本。

この本を読み終えてしばらくしてから民衆革命が起きた。(2000年10月)
ユーゴの今後、混乱もしこりもまだまだ残るけど、期待を持って見ていきたい。